ドミナント戦略とは?マーケティング用語の意味、特徴・メリット、事例紹介

事業をはじめたい方コラム

ドミナント戦略はマーケティング用語で特定地域に集中出店することを意味します。

事業拡大に有効な多くの企業が実践している経営戦略です。将来的に起業を考えている方は、ドミナント戦略の意味や特徴を把握しておくと役立つことがあるでしょう。

この記事では、ドミナント戦略の意味や特徴、メリット・デメリット、事例をご紹介します。

 

ドミナントとは

ドミナントとはどのような意味があるのでしょうか。英語での「ドミナント」の意味と「ドミナント戦略」の由来について解説します。

英語ドミナントの意味

「ドミナント」のつづりは「dominant」で、以下のような意味があります。

dominantとは

支配的な、最も有力な、優勢な、(群を抜いて)高い、そびえる、優性の、第 5 度の、属音の

出典:「Weblio英和・和英辞典」
https://ejje.weblio.jp/content/dominant

また、Wikipediaで「ドミナント」を調べてみると、ドミナント戦略について記載されています。

ドミナント(Dominant)
ドミナント戦略(Dominant Strategy) – チェーン展開している店舗の出店戦略。

出典:「フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』」https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%89%E3%83%9F%E3%83%8A%E3%83%B3%E3%83%88

ドミナントは支配的、優勢的であることを意味する言葉で、チェーン展開する起業がしばしば取る「ドミナント戦略」の由来になっています。

ドミナント戦略の由来

ドミナント戦略は、チェーン店が地域を特定して集中的に出店する経営戦略のことです。

ひとつの地域を支配するかのように複数店舗出店し、そのエリアで優位性を持つことが目的となります。「支配的な」「優勢的な」という意味を持つ「ドミナント」に由来する理由がわかりますね。

 

ドミナント戦略のやり方・特徴

出店地を決める

ドミナント戦略のやり方やメリット・デメリットについて解説します。

出店エリアの決め方

ドミナント戦略を成功させるには、利益が見込める地域に集中出店する必要があります。候補エリアの立地調査をしっかりと行った上で、出店エリアを選び、出店計画を立てることが大切です。

主な調査内容は以下になります。

  • 現在と将来の人口の増減
  • 時間帯による人口の増減
  • 人の流れの多さ
  • 競合他社の動向
  • 地域の年齢層や性別、世帯構成など
  • 需要特性(地域による味付けの違いなど)

人口の増減や人の流れの多さを調べることで、売り上げが見込める地域を見極められます。また、出店したい地域にすでに競合他社が進出している場合もあるため、競合他社の動向、販売戦略も調べておく必要があります。

地域の風土や地域住民のニーズと合っていないと、売り上げを伸ばすのが難しいということもあるでしょう。そのため、地域に住む人たちの年齢層や世帯構成、需要特性、地域特性なども調べた上で出店エリアを決めることが重要です。

メリット

ドミナント戦略には、以下のようなメリットがあります。

知名度を上げられる

特定地域に店舗を集中して出店することで、住民が店舗を目にする機会が多くなります。それがブランドや会社名の知名度を上げることにつながり、また、複数の店舗があることで安心感も与えられます。

また、店舗自体が広告代わりになるので、宣伝広告費を抑えられるのもメリットです。

効率よく出店できる

ドミナント戦略では徹底したエリアマーケティングを行うため、特定地域への理解が深まります。そのため、商品戦略、価格戦略なども立てやすいです。

地域を限定するため調査しやすく、出店計画も立てやすいため、効率的な複数店舗の出店が可能になり、スムーズな利益アップにつながります。

物流コスト削減

孤立店舗が多く、店舗間が離れていると、商品の配送に時間がかかります。しかし、特定地域内に集中的に出店すれば一度の配送で多くの店舗を回れるため、物流コストを削減できます。

スーパーマーケットやコンビニなど食品を扱う店舗の場合、品質を保って商品を届けられることもメリットとなるでしょう。

ライバルを寄せ付けない

狙っている商圏でライバル企業の店舗集中度が高く、人口あたりの店舗数の上限に近い状態なら参入しても集客できる可能性は低いです。

また、すでに地域の人に定着した店舗が独占している場合も、顧客を奪い取るのは難しいでしょう。

このように、ドミナント戦略を行うことは、ライバルを寄せつけない効果があります。

デメリット

ドミナント戦略には、以下のようなデメリットもあります。

リスクが集中する

ドミナント戦略には地震や台風などの災害が発生した場合、地域内の店舗すべてが被害を受けるリスクがあります。集中的に被害を受けることで売り上げが減少し、多額の修繕費用も必要になってしまうでしょう。

出店する際には災害リスクを考えて、事前に対策をとっておく必要があります。

同チェーンでの顧客の奪い合いの可能性

同じ地域内で店舗を拡大することにより、同じチェーン店同士で顧客の奪い合いになるケースもあります。同店舗間で顧客や売り上げを奪い合う現象は、「カニバリゼーション」と呼ばれます。

カニバリゼーションを防ぐには、近距離に出店するのを避ける、ターゲット層が異なるように店舗を配置する、他の店舗との差別化を図るなどの対策が必要です。

ただし、競合他社の参入を防いだり、自社競争をさせて市場シェアを拡大させたりと、カニバリゼーションを戦略的に利用する場合もあります。

競合に一気に顧客を取られる可能性

ドミナント戦略で店舗を拡大しているところに、強力な競合店が進出してくると、一気に顧客を取られる恐れがあります。

需要が減ることで、自社の店舗同士で顧客を奪い合ってしまう可能性もあるでしょう。ドミナント戦略を成功させるには、独自の商品開発や人材育成などを行い、他社にない魅力を打ち出して、顧客を取られないようにすることもポイントです。

エリアの拡大に時間がかかる

地域内で複数店舗出店するには、それなりに時間がかかります。他のエリアに拡大しようとしたときには、競合店舗がその地域でドミナント戦略を成功させているかもしれません。

そうすると、その地域への進出が難しいケースもあります。

ドミナント戦略を行う際は、競合他社の動向を含めたエリア調査を行い、 綿密な出店計画を立てて、他社に負けないような工夫をする必要があるでしょう。

 

ドミナント戦略の事例

一例として、ドミナント戦略を実践している企業をご紹介します。

【コンビニ】セブンイレブン

ドミナント戦略を実行している企業といえば、コンビニ最大手のセブンイレブンです。

店舗を集中させてそのエリア内に工場を作ることで、配送時間の短縮、弁当や惣菜などの品質保持につなげています。

ドミナント戦略によってシェアを拡大し、2018年に国内小売業で初めて出店数2万店舗を達成、2019年には全国47都道府県への出店を達成しています。

【調剤薬局】ココカラファイン

調剤薬局やドラッグストアなどを運営するココカラファインは、全国に1,300以上の店舗を出店しています。関東・関西エリアを中心に店舗展開しており、地域におけるヘルスケアネットワークの構築に取り組んできました。

2021年10月には、ドミナント戦略によって関東・東海・関西エリアでシェアを拡大してきたマツモトキヨシホールディングスと経営統合することが発表されています。この統合によって店舗数3000店、売り上げ業界トップのドラッグストアが誕生することになります。

【スーパー】ヤオコー

ヤオコーは、都心から20〜40kmの範囲に集中的に出店するドミナント戦略に取り組んできたスーパーマーケットです。現在は埼玉県を中心に、東京都、千葉県、神奈川県など人口の多い地域を重要エリアとして店舗展開しています。

また、物流センターを熊谷、千葉、横浜など5か所に配備することで、物流コストの低減や迅速な配送を実現しています。

出店地域や見込める客層によって内装やレイアウトを変えるといった工夫をしている点にも注目です。

【GMS】ユニー

ユニーは、愛知県を中心にドミナント戦略を実施し、GMS(総合スーパー)事業を展開してきた企業です。現在はドン・キホーテの運営会社の子会社となり、GMSの店舗をユニーとドンキの強みを活かしたダブルネーム店舗にする業態転換を進めています。

業態転換をした店舗は、売上、粗利、客数ともにアップしました。

ドミナント戦略が行き詰まり、業績不振に陥った際は、思い切った業態転換でテコ入れすることが有効に働くケースもあることがわかります。

【飲食店】ねぎし

ねぎしフードサービスは、東京を中心に41店舗の牛タン定食屋「牛たん とろろ 麦めし ねぎし」を運営している企業です。

新宿駅から30分以内にしか新規出店しないドミナント戦略を実施し、店舗数を増やしてきました。その結果、地域への競合他社の参入を防ぎ、ブランドイメージを確立させることに成功しています。

 

ドミナント展開を目指す障害者グループホームわおん

寄り添う犬

障害者グループホームは、障害のある方がサービス管理責任者や世話人、生活支援員などの支援を受けながら、自立を目指して共同生活をする場です。

障害者グループホームは軽度の知的障害や精神障害のある方の利用が多く、バリアフリーを取り入れた住居にしなくても始められる福祉事業です。

現状、日本の精神病院の病床が減少していることから、退院した方や入院できなかった方の受け入れ先として障害者グループホームを開設する事業者が急増することが予想されます。

施設の増加によって地域内の総施設数を制限する「総量規制」がかかる可能性があり、参入が遅れると希望するエリアに開設できない場合があります。

そのため、障害者グループホームの経営をするなら、早めにドミナント戦略を実施して複数設置するのが望ましいでしょう。

ペット共生型障害者グループホームの「わおん」「にゃおん」は独自の事業モデルを採用しており、事業主は本部のサポートを受けながらフランチャイズよりも自由に経営できます。

複数のグループホームを設置することで収益が上がるプランもあるので、福祉事業をドミナント展開したい方におすすめです。

zoom合同相談会を実施していますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。