介護福祉士実務者研修とは|資格取得方法とスクールの受講内容、費用補助

福祉の仕事をしたい方コラム

介護福祉士実務者研修」は幅広い介護技術・知識を身につけられ、国家資格「介護福祉士」を取得する際に必要となる資格です。
これから介護職に就きたい方、介護業界でキャリアアップしたい方は、資格取得を目指しましょう。

この記事では、介護福祉士実務研修の特徴や資格の取得方法、スクールの受講内容、費用補助について詳しく紹介します。

 

実務者研修とは

実務者研修とはどのような資格なのでしょうか。
資格の特徴や介護の仕事に役立つポイントを紹介します。

 

介護職員初任者研修の次、ホームヘルパー1級に相当

「介護福祉士実務者研修」は、介護現場で必要となる実践的な知識・技術が修得できる介護資格です。

介護の基礎知識・技術を身につける「介護職員初任者研修」の次のステップとなる上位資格で、現在は廃止されたホームヘルパー1級(訪問介護員養成研修)に相当します。

受講資格は特になく、介護の仕事が未経験の方でも講座に申し込めます。

 

介護職員初任者研修で研修時間が一部免除される

実務者研修には、通常450時間(20科目)の受講時間が必要です。
介護職員初任者研修を修了している場合、130時間の受講免除が受けられるので修了までの期間を短縮できます。

なお、実務者研修の領域は以下の通りです。(カッコ内は科目)

  • 人間と社会(人間の尊厳と自立、社会の理解Ⅰ・Ⅱ)
  • 介護(介護の基本Ⅰ・Ⅱ、コミュニケーション技術、生活支援技術Ⅰ・Ⅱ、介護過程Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ)
  • こころとからだのしくみ(発達と老化の理解Ⅰ・Ⅱ、認知症の理解Ⅰ・Ⅱ、障害の理解Ⅰ・Ⅱ、こころとからだのしくみⅠ・Ⅱ)
  • 医療的ケア(医療的ケア)

 

サービス提供責任者になれる

サービス提供責任者(サ責)は、訪問介護サービス利用者とヘルパー、ケアマネージャーをつなぎ、計画通りにサービスが提供されるように調整する職業です。

訪問介護事業所ではサービス提供責任者の配置が義務付けられているので、介護業界での需要が高くヘルパーより給与が高い傾向にあります。

サービス提供責任者として働くには、以下のいずれかの資格を取得する必要があります。

  • 介護福祉士資格
  • 介護福祉士実務者研修
  • ホームヘルパー1級
  • 介護職員基礎研修

ホームヘルパー1級と介護職員基礎研修はすでに廃止されているので、これからサービス提供責任者を目指す人は介護福祉士の資格取得または介護福祉士実務者研修を修了することを目標としましょう。

なお、下位資格にあたる介護職員初任者研修(ホームヘルパー2級)の資格を持つ人もサービス提供責任者になれる場合がありますが、事業所に配置した場合、介護保険制度で定められている介護報酬が減額されます。

つまり、売上が減ることになるので、事業者は介護福祉士実務者研修修了以上の資格を持つ人を求めるのです。

※介護報酬:介護サービス事業者や施設がサービスを利用者に提供した際、事業者に対価として支払われる報酬

 

喀痰吸引等研修の基本研修が履修免除

介護現場では、たん吸引経管栄養といった医療的ケアを必要とする方がいます。

たん吸引や経管栄養は、医療従事者しか実施できない医療行為とされていました。

しかし、平成24年度から喀痰吸引等研修を受けた介護職員は、医師の指示や看護師の連携のもと実施できるようになっています。

喀痰吸引等研修は基本研修と実地研修に分かれており、実務者研修修了者は基本研修が履修免除されます。

 

介護福祉士の受験資格で修了が義務付けられている

介護福祉士は、介護資格の中で唯一の国家資格です。

介護福祉士資格を取得するには、養成施設ルート福祉系高校ルート実務経験ルート経済連携協定(EPA)の4つのルートがあります。

実務経験ルートで介護福祉士を目指す場合、受験資格に実務経験3年以上と実務者研修修了が義務付けられています。

 

実技試験が免除される

介護福祉士国家試験には、「筆記試験」と「実技試験」があります。

実務経験ルートで介護福祉士試験を受験する場合、実務者研修を修了していると実技試験が免除されます。

 

実務者研修はハローワークの職業訓練で取得できる

職業訓練

実務者研修は、ハローワークが実施している「職業訓練」で取得できます。
ここでは、求職者支援制度を利用しての職業訓練について紹介します。

 

求職者支援制度の対象にもなっている

ハローワークでは雇用保険受給者を対象とした公共職業訓練(離職者訓練)を実施しており、無料で実務者研修を受けることができます

また、雇用保険を受給できない方も、求職者支援制度を利用すれば職業訓練で実務者研修を受けることが可能です。

 

求職者支援制度の利用条件

求職者支援制度を利用するには、以下の条件を満たしている必要があります。

  • ハローワークに求職登録をしている
  • 雇用保険の被保険者・受給者ではない
  • 労働する意思・能力があり、就職を目指している

 

求職者支援制度を利用するメリット・デメリット

求職者支援制度を利用するメリット・デメリットは以下の通りです。

 

【メリット】

  • 受講料無料で利用できるので、民間スクールより費用を抑えられる。(テキスト代などは自己負担)
  • 一定条件を満たしていれば、職業訓練受講給付金(月額10万円)・通所手当・寄宿手当が受け取れる。
  • 職業訓練受講給付金で生活費が足りない場合、一定条件を満たしていれば求職者支援資金融資を利用して融資を受けられる。
  • 訓練開始〜訓練終了後3ヶ月までハローワークによる仕事の斡旋が受けられる。

 

【デメリット】

  • 募集人数(定員)が決まっているため、人気のある講座は受講できないことがある。
  • 受講するには、訓練実施機関の選考試験(面接や筆記試験)に合格する必要がある。
  • やむを得ない理由でない限り、訓練は遅刻・欠席・早退できない
  • 訓練開始〜訓練終了後3ヶ月まで、指定来所日(月1回)はハローワークで職業相談を行う必要がある。

求職者支援制度を利用して実務者研修を受けたい方は、最寄りのハローワークに相談してみましょう。

 

実務者研修の資格が取得できるスクールと内容・費用

実務者研修の資格は、民間のスクールでも取得できます。

民間スクールの場合、自宅学習と通学講習を組み合わせたカリキュラムで、受講から修了までの流れは【開講→自宅学習→通学講習→修了】が一般的です。

ここでは、実務者研修の資格が取得できるスクールの内容・費用を紹介します。

 

三幸福祉カレッジ

三幸福祉カレッジでは、プロ講師による実践的指導が受けられます。

自宅学習はテキスト学習コースとWeb学習コースが選べるので、パソコンやスマホで好きなときに学習したい方に向いています。

介護福祉士国家試験合格を目指す方は「実務者研修+介護福祉士受験対策セット講座」を申し込めば、介護福祉士受験対策講座が20%割引になるのでおすすめです。(2021年3月29日時点)

  • 受講料:37,000円(税別)〜129,700円(税別)
  • 受講期間目安:自宅学習・約1.5ヶ月~/通学講習・7日

※保有資格によって受講料・受講期間・受講科目は異なります。

公式ホームページ:https://www.sanko-fukushi.com/course/jitsumu/

 

ニチイ

ニチイは全国約300ヵ所に教室があり、時間や曜日を選んで受講できます。
受講期間の延長や休学制度、レポート問題・実技試験対策レッスンなどさまざまな無料サポートが用意されています。

  • 受講料:52,389円(税別)〜200,000円(税別)
  • 受講期間:通学+通信・約1ヵ月~

※保有資格によって受講料・受講時間・受講科目は異なります。

公式ホームページ:https://www.e-nichii.net/kaigo/kaigojitsumusha/

 

未来ケア

未来ケアの実務者研修は、自分の都合に合わせて受講スケジュールが決められます。
修了評価に合格できなかった場合、無料で補習授業+ 再修了評価が受講可能です。

  • 受講料:49,500円(税別)〜149,500円(税別)
  • 受講期間:通学+通信・約1ヶ月

※保有資格によって受講料・受講時間・受講科目は異なります。

公式ホームページ:https://jitsumu.miraicare.jp/

 

実務者研修で使える費用補助

サポート

国や自治体の費用補助を利用して、実務者研修の費用負担を抑えることが可能です。
どのような費用補助制度があるのかチェックしてみましょう。

 

教育訓練給付金制度

教育訓練給付金制度は、指定教育訓練施設に支払った受講費用の一部を国が補助してくれる制度です。

雇用保険の一般被保険者等または雇用保険の一般被保険者等であった方が対象となり、一定条件を満たしていれば利用できます。

教育訓練給付金制度には一般教育訓練・専門実践教育訓練・特定一般教育訓練がありますが、実務者研修はすべての対象となっています。

それぞれの給付金額は以下の通りです。

  • 一般教育訓練:受講費用の20%(上限10万円)
  • 専門実践教育訓練:受講費用の50%(年間上限40万円)または70%(年間上限56万円)
  • 特定一般教育訓練:受講費用の40%(上限20万円)

詳しくはこちら↓
厚生労働省/教育訓練給付について
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000135079.html

 

自立支援給付金事業

自立支援給付金事業は国が自治体と協力し、母子家庭の母親・父子家庭の父親の経済的自立を支援するために実施している制度です。

一定条件を満たしていれば、指定教育訓練施設に支払った経費の60%を給付金として受け取れます。

詳しくはこちら↓
厚生労働省/母子家庭自立支援給付金及び父子家庭自立支援給付金事業の実施について
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000062986.html

 

自治体独自のサポートがあることも

各自治体では、実務者研修の受講をサポートする制度が実施されていることがあります。
例として、東京都と大阪府で行われている貸付金の制度について紹介します。

 

【東京都社会福祉協議会/実務者研修施設在学者向け修学資金貸付事業】

  • 対象者:実務者研修施設に在学中など一定条件を満たしていて、卒業後に東京都内で介護福祉士として働く意思がある方
  • 貸付額:20万円以内(要件を満たせば返還免除があります。)
  • 利子:無利子

詳しくはこちら↓
https://www.tcsw.tvac.or.jp/jinzai/shikin2.html

 

【大阪府社会福祉協議会/介護福祉士実務者研修受講資金貸付制度】

  • 実務経験3年以上で、実務者研修を受講している介護職員など一定条件を満たしていて、卒業後に大阪府内で介護福祉士として働く意思がある方
  • 貸付額:20万円以内(要件を満たせば返還免除があります。)
  • 利子:無利子

詳しくはこちら↓
http://www.osakafusyakyo.or.jp/fcenter/Cms/Public/topic/16

 

介護福祉士取得でサービス管理責任者も目指せる

実務者研修を修了し、介護福祉士の資格も取得すると、「サービス管理責任者(サビ管)」として働くことも可能になります。

「サービス管理責任者」は障害福祉サービスを提供する障害者グループホームなどの事業所において必ず配置しなければならないため、求人もたくさんあり、就職先に困りません。

 

サービス管理責任者の仕事内容

サービス管理責任者とは、障害福祉サービスを提供する各種事業所にて、利用者が適切なサービスを受けられるよう管理する役割を担います。事業所ではまとめ役的な存在です。

仕事内容は以下の通りです。

  • 利用者や利用者家族と面談し個別支援計画を作成、支援スタッフと受け入れの準備
  • 計画に沿ってサービスが提供できているか確認、状況によって計画を修正
  • スタッフへの指導、助言、相談に乗る
  • 医療機関、行政、他障害福祉サービスを提供する事務所との連携

 

介護福祉士取得者がサービス管理責任者になるには

介護福祉士の資格を取得している人がサービス管理責任者になるには、介護福祉士として、相談支援業務もしくは直接支援業務に3年以上従事しているという実務経験が必要です。

さらに、全5日間の相談支援初任者研修とサビ管研修を修了する必要があります。

介護福祉士のような条件に該当する国家資格等を取得していない場合、実務経験が5年もしくは8年以上必要となるので、資格取得者が優遇されることがわかります。

介護福祉士を取得すると、就ける職場の幅も広がり、給料も上がる場合が多いので、実務者研修を修了したら、引き続き介護福祉士資格も取得するのがおすすめです。

 

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