埼玉県 プレミアムわおん

わおん参画企業からの声

今回は、埼玉県久喜市にて障がい者グループホーム「プレミアムわおん」を運営されている合同会社NPライフケアの中村さん、斉藤さん、門井さんにお話しを伺いました。
「我が子が入居すると想定した時、安全で快適、さらに上質な環境で暮らしてほしいと思うのは親として当たり前ですよね」 ―― 目指すべき福祉のあり方を追求する熱い想いを語っていただきました。

グループホーム概要

企業名/事業所 合同会社NPライフケア/プレミアムわおん
エリア 埼玉県久喜市
開設棟数 3棟(男性棟2棟、女性棟1棟)
開設日 2020年12月:1棟目開設
2021年2月:2棟目・3棟目開設
居室数 計13名
対象障がい者 精神障害、知的障害、発達障害

 

●まずはじめに、福祉に携わろうと思ったきっかけを教えてください。
私(中村さん)が中学生の時、学校で障がい者について作文を書きなさい、と言われたんです。当時からこのように書かせることで障害を意識させる、と思っていたので、「(障がい者については)何も思わない」と書きました。
先生からは「✕」の採点をもらいました。おそらく「障がい者を見かけたら声をかける、手伝う」というのが求められていた正解だったのでしょう。
目が一重だから、足が短いから…私たちがコンプレックスに思うことと一般的に障害の間に絶対的な違いはないと思っていたので、差別やいじめに関する問題に対する自分の軸はこの頃からありました。

こういった考えからいつかは福祉事業をやりたいと思っていて、メディアを通じて紹介してもらったアニスピとの出会いをきっかけに一歩を踏み出すことになりました。わおんの理念や収益の仕組みを聞いて、すぐに契約を決めましたが、始まるまでは不安な点もあったのは事実です。ですが、福祉事業を通して本業の広告代理の仕事や社員教育など幅広く相乗効果があると思ってたので、決めたからには早く立ち上げたい想いでいっぱいでした。

●人材はどのように見つけましたか?
本業をやりながら、グループホームの開設準備をするのは一人ではできないと思っていたので、昔からの友人である門井さんに声をかけました。「障がい者グループホームをやるから、仕事を辞めて手伝ってほしい」と。(笑)
当時、彼女は特別支援学校の先生だったので、任せるなら彼女しかいないと思っていました。ありがたいことに比較的すぐ、社員としてフルタイムで参加してくれるようになりました。今では期待を200%超える仕事ぶりを発揮してくれています。
サービス管理責任者は、わおん求人やインディード、スマフク(アニスピHDの関連会社)を通じて募集し、採用しました。
世話人は、通常の2倍の数を採用しています。最初から複数の拠点を狭いエリアで展開していくと決めていたので、彼/彼女らの中にネットワークができれば、拠点を横断した柔軟な勤務シフトが組めるメリットがあると思ったからです。

●「プレミアムわおん」という名前の由来を教えてください。
我が子がグループホームに入居すると想定した時に、普通よりも上質な環境を作りたいと考えるのは当たりまえの親心だと思います。長い時間を過ごす場所なので、エコノミークラスよりはビジネスクラスのイメージです。そういう環境を提供するという意味で、「より上質な」という意味の「プレミアム」と付けました。また、アニスピやわおんのブランド力向上のために参画企業の一社として活動していきたい想いもあったので、「わおん」の屋号はそのままにしました。
ベッドとテレビは全居室に完備しており、有料チャンネルも契約しているので各部屋で色々な番組やコンテンツを楽しむことができます。共有で使用する場所にはIHコンロ、温水洗浄便座、大型テレビ、クラウド管理の防犯カメラ、ホームセキュリティを設置しました。
こうした設備があれば入居者の保護者も安心されますし、最善の予防をすることで想定される事故は減らしていきたいです。保護者にとっての「プレミアム」な部分です。
また前述の通り、世話人は通常の2倍採用しているので、彼/彼女らがプライベートの予定や事情があってもスタッフ交代ができる余裕を持っています。これはスタッフにとっての「プレミアム」です。

(写真)NPライフケア中村さん

●参画から約半年で4拠点開設されているそうですね。
同じ久喜市内で、それも車で5~10分圏内に拠点をまとめることで入居者にもメリットがあります。もし、入居者同士のトラブルがあったとしても、住居エリアは変えずに住まいだけ変えることができます。これなら就労先や通勤するルートに影響なく、入居者にとって最善の解決策になります。そういった理由もあって、エリアを絞って複数棟開設することは大切だと思います。

グループホームの開設にあたって、近隣住民の方にも挨拶をしましたが皆さんとても良い方ばかりです。空き家が放置されていることを懸念されていたので、グループホームとして常に人がいることで防犯意識も高まり、何より活気が出ると喜んでくれました。我々も地域の方から見守ってもらえていると感じますし、自治会のイベントなどにも積極的に携わっていくつもりです。

以前から面識のあった久喜市長に表敬訪問した際は、空き家問題を解決していくという市の問題意識とリンクする部分も多く、応援の声をいただきました。ふくすけ(わおんのマスコットキャラクター)のぬいぐるみもプレゼントしました(笑)。

●グループホームを運営する中で心掛けていることはありますか?
入居者は我が子同然という姿勢なので、料理、言葉遣い、態度など全てにおいて、「どうするのがベストか」をスタッフ一人一人が自分事として考えてほしいですね。
因果応報と言うように、心から人を助けるという行為は必ず自分自身に還ってくると思います。
私(中村さん)個人は、本心ではゲームを買ってあげたり、ディズニーランドにも連れていきたいですね(笑)。甘やかすのも時には大切かな、と。我が子なので。入居者が卒業した時に思い出してもらえる場を作りたいです。

●わおんを選んで良かった点はありますか?
この点は1日語れますね(笑)。まず、担当のSV(スーパーバイザー)はうちの社員だと思っています。本当に我々のことを考えてくれ、一緒に社会課題を解決していこうという想いが伝わってきます。色々と質問をする中でSVが分からないときもあるのですが、そうすると「調べます!!」と言ってくれ、すぐに調べた結果をこちらにアウトプットしてくれるんです。

日頃、広告代理店としてたくさんの企業と接していますが、「売る側」と「買う側」という枠にとらわれずに相互に学ぶことができる関係性が築けているのがとても嬉しく思います。参画企業がSVを信頼することで彼/彼女らは成長し、我々にたくさんのメリットをもたらしてくれると信じています。これこそが真のビジネスマナーであり、「客だから」、「お金を払っているから」というだけのドライな関係ではいつまでたっても福祉全体は活性化できないのではないでしょうか。

アニスピ本社(東京都千代田区)に行った際、社員同士の笑い声が絶えない空間だったのは驚きました。様々な新しい取り組みをしているのが伝わってきて、まるで工事現場がガラガラと音を立てながら作り上げている感じでした。アニスピにはそのように作り上げていく楽しみを味わえるスタッフ、常にゴールを見据えてそこに向かって質の高い作業をしているスタッフが多い印象を受けました。

●今後の夢や展望を教えてください。
本業もですが、地域に根差した仕事をすることが必要だと考えています。入居者の将来の独立を支援することも大切なので、大きなビジョンでは弊社のネットワークを活用して、障がい者が民間会社で雇用されるような包括的なシステムを作りたいと考えています。テレワークも普及してきて、どんどん不自由は解消されつつあります。企業とグループホームが細い線ではなく、もっと広い面で繋がれるような仕組みを構想しています。なので、グループホームを開設・運営していくのはそのゴールに向かうための本当に小さな一歩ですが、積み重ねていくべき大切なピースです。

●わおんに参画したい人に一言
独立したり、他社に参画してグループホームをやるという方法もありますが、大切なのは自分が将来何をしたいか、というゴールをどれだけ明確に持てるかという点だと思います。弊社の場合、そのゴールを達成できるための選択肢がわおんでした。
わおんは弊社にとって予備校や塾のような存在で、必要なことは全部教えてもらいました。独学では得られなかったであろう参画企業同士の連携や成功事例も共有してもらえるのはお金に変えられない価値で、わおんに参画する意義の大きな一つです。

福祉は儲けてはいけない、という固定概念がありますが、本当は「儲かるからグループホームをやる」のではなく、「入居者や社会のために儲かるようにやる」のが大切だと思います。ビジネスとしてだけの側面を重視するなら福祉でないほうが良いと思います。どうして福祉でなきゃいけないのか、という意味を考え、その問いに答えを出せる人が福祉事業に参入すべき人、ですかね。

(写真)左から中村さん、門井さん、斉藤さん