福祉事業は行政からの給付で運営される、安定した事業である。そのため、福祉事業参入を希望する異業種の声も多い。そんな中、異業種から参入するために、障害福祉事業のFCも存在している。
今回は、障害福祉事業のFCへ加盟することでのメリット・デメリットに注目して見ていきたい。
障害福祉事業の収益の仕組み
通常のビジネス = 利用者に請求する
障害福祉事業 = 国民健康保険団体連合会に請求
FCへ加盟する人の特徴
明確に事業を定めていない方の割合が多い。様々なFCがあるが、福祉は人気。
あくまでも、サイトのベースにはなるが、基本的に今、FCをやりたい人は増加傾向で、ユーザーが増えている。
コロナ禍による、計画的でない失業者や本業のみでは不安な方が突発的に増えており、個人での問い合わせが多い。
反対に、法人の傾向としては、コロナで、バブリーになった会社が投資のために参画したりと、今までとは違う傾向の人たちが増加している。
全体でみるとFC応募者は、コロナ前と比較して、約2倍に増加、7割は個人の方。
コロナ前は、コンビニ業態がFC募集を積極的に行っていたので、コンビニの説明は聞いた方がいいよね、という感じで、FCを検討する人は必ず通る道だった。また、タピオカ、唐揚げ、外食のテイクアウト系が非常に多かった。後は、買取、一人開業系(ハウスクリーニング等)
ただ、コロナ中は、コンビニがFC募集をストップし、コンビニのFC問い合わせは一気になくなった。コロナ禍の終盤・コロナ後では、福祉が一気にぶり返し、検索キーワードを見る限り、かなり安定志向がみられ、検索ボリュームも安定志向のワードがかなり増えている
資料請求、説明回数が多いブランドは、就労支援、高齢者宅配の食事提供の事業、障害者グループホームが多い。
FCをやりたい人のマインドとしては、自分が私がFCオーナーというアピールをすることは少ない。理由としては、自分が創出したコンセプトの事業ではないので、、というマインドがあるため。
「独立開業を検討しておりFC加盟も検討している」方のうち、独立予定・独立に関心があると回答した方を対象に行ったアンケートでも、これをやりたい!と、明確に目的を定めていない人の割合が1/4にも達する。そんな中、事業を検討していくと、福祉の事業は不特定多数の人に応援されやすく、社会的な貢献度が高い。そのため、目的が特にないFCオーナーは、社会的貢献度の高い福祉事業に注目する傾向にある、というのが、現在のFC業界での定説となっている。
FC登録をしているFC本部の会社は、弊社の情報で見ると、コロナ前14社→コロナ後24社、と、10社純増。就労支援が多い。
障害福祉事業のFCに加盟するメリット
- 制度ノウハウの提供
FCに加盟することで、制度ノウハウの提供を受けることは、安定した事業の開始までの近道となる。新規に他業種から参入する場合、まず何をしたらいいのかわからない、という方が多いのではないだろうか。ただ、そんなわからない中でも、世の中の動きに左右されにくい福祉事業は、安定した収入の確保につながるので、希望される方が多い。独自に調査していくと、基礎知識がない状態で進んでしまい、効率的に情報を得ることはできず、かなりの時間を要するだろう。しかし、FCに加盟していれば、何から始めればいいか、何から始めるべきかを的確に知ることができ、効率的に情報を得ることができるため、事業開始までの近道となる。 - エリアごとの特性提供「障害者総合支援法」というすべての基本となる法律は存在するが、その解釈を各指定権者(障害福祉事業の指定を出す権限を持つ行政)に委ねている部分が多くあり、行政によってルールが異なる場合がある。ある地域では認められていることが、ある地域では認められない(例:職種の兼務は2兼務までとする地域と、兼務数の制限を設けていない地域等)場合もあり、そういった細かい部分は、「障害者総合支援法」には明記されていない。そんな知識についても、FCに加盟していると、情報を得ることができる。また、解釈が各行政に委ねられていることで、理不尽な見解を提示されることも少なくない。そんなとき、正しい知識がない場合、行政の言うとおりにしか進めることができない。
その点、FCに加盟していると、障害者総合支援法の記載内容や他エリアの見解を確認することができ、その知識を持って行政の解釈について意見を上げることができる。このような交渉の末、理不尽な見解を突破して、事業運営につながる事例も少なくないので、この点は事業を進めていくうえで、心強い味方となるだろう。
- 定期的な提出が必要な書類(体制届、計画書、報告書等)を、適切なタイミングで通知定期的に書類を届け出、情報を更新することで、報酬が増える場合がある。そんな通知は、基本的に、行政から連絡をもらえることはない。そのため、全体を把握してアドバイスをくれるFCの担当者から定期的に通知やリマインドを受けられることは、報酬のアップにつながる。
- 最新の情報提供「障害者総合支援法」は、3年に1度法改正が行われる。その中で、新たな加算が追加されたり、助成金が発表されたり、新たなサービスが追加されたり、事業所が担うべき義務的な内容の追加がされたり、報酬の改定がされたり等、運営時に必要な知識、情報が定期的に更新されていくのだ。ただ、3年に1度の法改正といっても、変更となった内容が、全て同じタイミングで更新されるわけではなく、それぞれの変更点に対して移行期間を設けたり、緩和要件を設けたり、実際に変更された内容が適用とされるタイミングはまばらとなる。そうなると、関連法令や事業の仕組みが複雑な福祉事業を始めるために様々な情報を覚えなければならないタイミングで、法改正の内容やそれが適用されるタイミングを把握することは、新規に他業種から参入した当事者には、ハードルに感じられるだろう。
障害福祉事業は、法律に則って、行政から許認可をもらい、給付金を得て、運営するビジネスとなる。そのため、障害者総合支援法について知らなかった、法改正の内容を知らなかった、では済まされず、そういった状況に陥った場合、最悪、指定取り消しとなり、事業自体が運営できなくなってしまう。FCへの加盟は、このような法律に関してもフォローをしてくれるため、事業存続のためにも有効な手段と考えられる。
障害福祉事業のFCに加盟するデメリット
- 店舗名やコンテンツ等に縛りが発生する
- ロイヤリティの支払い
- サービス提供から、実際に給付金が振り込まれるまでのタイムラグ
実際に、どんな障害福祉FCが存在する?
- 商品名:ペット共生型障がい者グループホームわおん
F C 本部情報:株式会社アニスピHD
サービス種類:障害福祉事業 共同生活援助 - 商品名:ライフデリ
F C 本部情報:株式会社グランフーズ
サービス種類:高齢福祉事業 高齢配食サービス - 商品名:はぐくみ弁当plus
F C 本部情報:株式会社GLUG
サービス種類:障害福祉事業 就労継続絵支援A型 - 商品名:ONEGAME FC
F C 本部情報:株式会社ワンライフ
サービス種類:障害福祉事業 就労継続支援B型 - 商品名:にじげん
F C 本部情報:株式会社エンピュア
サービス種類:障害福祉事業 就労継続支援B型 - 商品名:だんらんの家
F C 本部情報:日本介護事業株式会社
サービス種類:高齢介護事業 デイサービス - 商品名:フレアス在宅マッサージ
F C 本部情報:株式会社フレアス
サービス種類:高齢介護事業 在宅マッサージ - 商品名:土屋訪問介護事業所
F C 本部情報:ユースタイルラボラトリー株式会社
サービス種類:高齢介護事業 訪問介護 - 商品名:放課後等デイサービス ウィズ・ユー
F C 本部情報:有信アクロス株式会社
サービス種類:児童福祉事業 放課後等デイサービス - 商品名:就労継続支援事業のアル
F C 本部情報:株式会社ARU
サービス種類:障害福祉事業 就労継続支援B型
福祉系フランチャイズについては、別途記事を出しているので、その点については、以下を参照したい。