グレイナーの企業成長モデル|会社の成長段階に合った人材を登用することが事業成功のカギ!
5段階企業成長モデル
初めて起業する方には、ぜひ、知っていてもらいたいのが、「5段階企業成長モデル」です。「5段階企業成長モデル」とは、1979年にラリー・E・グレイナーがハーバード・ビジネス・レビューに発表した論文に掲載されている企業の発展モデルです。日本では、グレイナー教授はドラッガーのように有名ではありませんが、今から起業する方には、自社の成長をイメージしやすい図だと思います。この図では、成長段階を人数で分類しています。展開する事業により人数が異なってはきますが、非常に参考になります。
(図の引用元:http://trso.sakura.ne.jp/housingfair-saitama.jp/five-strategy/)
おおよその人数により、企業の成長を5段階に分類しています。今、僕の経営する(株)アニスピHDは、従業員100~300人の第3段階です(2021年現在)。
経営しているときに大切なことは、経営者として、従業員が何人くらいまでの規模をイメージできるかです。
介護・福祉事業は、そこで働く人材がいないと、人員基準を満たせずに開業できません。事業を拡大すればするほど、働く人数も当然、増えていきます。この部分は、IT産業などと比べると、福祉事業を経営することのデメリットです。事業を展開するためには、人を採用しなければなりません。そして、人数が増えていくと、それぞれの段階で「危機」が訪れます。
第1段階(従業員3人~50人)
僕も起業するたびに経験してきましたが、第1段階(従業員3人~50人)では、社員が一気に増え、統率が取れなくなってきます。
第2段階(従業員300人~100人)
第2段階(従業員300人~100人)では、それまでは動物の群れのようだった集まりに「組織」や「階層」ができます。例えば、部長や課長といった役職ができ、管理部・人事部といった部署ができることにより組織の階層化が進みます。そうすると何が起きるか。第1段階にいた頃は、何もかも手作りで自分がやらなければなりませんでした。だけど、人数が増え、中間管理職が増え、分業になるので、自主性がなくなります。
第3段階(従業員100人~300人)
第3段階(従業員100人~300人)では、中間管理職が増え、自分たちの業務の範囲を抱え込むようになります。中間管理職は、上からは文句を言われ、下からは突き上げられ、板挟みとなります。そうして、抱え込むことにより、統制が取れなくなってしまいます。今、弊社はこの段階で、うちの人事部長はここに陥っています。
第4段階(従業員300人~1,000人)
そして、第4段階(従業員300人~1,000人)になると、組織は官僚主義による形式化により業績が下がります。弊社でも現在、稟議制度がありますが、稟議が形骸化しています。そこの打開が今の僕の課題です。形骸化すれば、そこに関わる間接部門の人数が増えるので、時間もかかり収益率が下がります。
第5段階(従業員1,000人以上)
最後に、第5段階(従業員1,000人以上)になると「次は何を頑張ろうか」という具合に心理的飽和状態となります。そこで優秀な人材が辞めてしまうなど、新たな問題が起こりやすくなります。
自分が100人の従業員を雇ったときをイメージしてみる
この図は、あくまでも傾向です。ここで重要となるのは、これから事業を展開していく際に、従業員が何名くらいまで増えるのか想定しておくことです。今から障害者向けグループホームを展開していくとします。従業員が100人くらいになることを想定します。100人の従業員を雇った際に、自分がどういったマネジメントをしていくかイメージしてください。100人になった場合、経営者1人で100人を統率するのは難しいので、間に人が入ることになります。その間に入る人たちはどういう人がいいのかを考える。それが友人なのか、家族なのか、第三者なのかは人により違うと思います。ですが、それぞれの成長段階に合った人材を登用することが大切です。
「藤田英明ライブ福祉スクール(https://anispi-seminar.peatix.com/)」より抜粋
文 田口ゆう