(画:Amazon.com https://amzn.to/3cDG4Or)
今回は、「障害のある子の住まいと暮らし」単行本(ソフトカバー)、渡部 伸(著)をご紹介する。
著者の渡辺 伸氏は、行政書士、社労士である。障害のある子をもつ親御さんの共通の悩みである「親なきあと」のことを一緒に考え、早くから対策を打てるようにという思いから、東京都世田谷区に行政書士事務所を立ち上げた。
「親なきあと相談室」
を運営し、メールや手紙でも相談を受け付けている。基礎知識について解説したページが非常に分かりやすく役立つので、サイトも訪問してみて欲しい。
障害児を抱える家庭において、一番気になるのは、自分が死んだ後、子どもがどう暮らしていくのかだろう。
今、その生活の場は、法改正にともなって、大規模入所施設から、グループホームで地域の中で生活するという形に変化してきている。
しかし、その準備となると、いったい何から始めればいいのか、お悩みの方が多いと思う。
自身も障害児の親である著者は、その不安を3つの課題に分類している。
- お金で困らないための準備をどうするか
- 生活の場はどのように確保するか
- 日常生活で困ったときの備えをどうするか
本書では、2の生活の場を20の実例をあげ、それぞれの施設や利用者への取材から、解説している。
いったいどんな生活になるのか、その際にどんな福祉サービスが利用できるかを具体的にイメージできるように写真や図をふんだんに使用しており、イメージしやすい作りとなっている。
住まいが決まると、そこに入る支援が分かり、どんな備えが必要になるかが見えてくるだろう。
親なきあとの住まいの場は大きく分けて
・障害者支援施設(入所施設)
・グループホーム
・福祉サービスを利用したひとり暮らし
・高齢者住宅
・福祉サービスを利用したひとり暮らし
・きょうだいや親類と同居
・そのほかシェアハウス
の7つに分けられる。
私自身は、あいである広場での取材でも答えているが、高齢になる前は、グループホームでサポートを得ながら暮らすことが、理想の形だと考えている。
「グループホーム運営会社 現役社長が語る「障がい者の自立」 ~無視され続けてきた当事者のニーズ~」
本書においても、グループホームに関する解説は4章中の1章を割いて、詳しく説明されている。
それだけ、グループホームの需要は年々高まっている。
(図:厚生労働省「障害者の住まいの場の確保について」https://www.mhlw.go.jp/seisaku/2009/11/04.html)
厚生労働省が2019年に公表した政策リポート(「障害者の住まいの場の確保について」https://www.mhlw.go.jp/seisaku/2009/11/04.html)によると、グループホーム・ケアホームは、障害者の地域での自立した生活を進めるため重要な役割を果たしていることが分かる。障害福祉計画においても、全国でグループホーム・ケアホームを平成17年度の3.4万人分から平成23年度に8.3万人分に増やす予定だ。
今後、ますますグループホームは増えていくだろう。
本書 第一章では、グループホームでの生活スタイル、利用料金についての解説が詳しく、入所後の生活を具体的にイメージできる。
本書によれば、アンケートの結果、子どもにグループホームで生活して欲しいと回答した親御さんは全体の4割いる。
しかし、次々と増える利用者・施設と、その希望とのミスマッチの問題は大きい。
利用者やその家族のニーズと、マッチングするように、弊社では多様なスタイルのグループホームを開設していきたいと考えている。
また、なかなか空きが出ないという声もあり、スピード感を持って展開していきたい。
親御さんが大切な子どもを預けることに抵抗感を持つことも多い。
弊社では、事前の説明や見学により、スタッフと利用者様・そのご家族の不安感を軽減するために、きめ細やかな取り組み、そして情報発信をしていくつもりだ。