「新規事業」は英語で「スタートアップ」といい、革新的な商品やサービス、新しいビジネスモデル、新しい市場の開拓などによって事業を展開することを指します。
新規事業を立ち上げる際には、成功が見込めるアイデアを考えることが大切です。
この記事では、アイデアの考え方、参考事例、補助金など、新規事業の立ち上げを検討している方に向けた情報をまとめてご紹介します。
新規事業を立ち上げたい!アイデアの考え方
新規事業というとベンチャー企業のイメージがあるかもしれませんが、ベンチャー企業に限らず大企業でも新たなビジネスチャンスを狙って新規事業に取り組むことがあります。
いつか会社の新規事業プロジェクトの参加者になりたい、自ら新規事業を立ち上げたいと考えている方に向けて、新規事業のアイデアの考え方をご紹介します。
日頃から理想の世界を思い描く癖をつける
新規事業を立ち上げたいと考えているなら、日頃から理想の世界を思い描く癖をつけておきましょう。
「こんなサービスのある未来だったら便利かもしれない」と理想の未来を想像することでアイデアが浮かびやすくなります。
解決法を考えることからはじめない
解決法から考え始めてしまうと、実際にはそれを求める顧客がいなかったという事態に陥る可能性があります。
画期的なアイデアを出して、それを実現することに注力せずに、まずは顧客のニーズがどこにあるのかを考えることが大切です。
あらゆる「不」を見つける!まずは課題設定
世の中には不便、不満、不安、不公平など、あらゆる「不」が存在します。
これらの「不」を解消する方法を見つけると、顧客のニーズに合った事業を立ち上げやすくなります。
まずは世の中にある課題を探し、設定してからアイデアを考えはじめましょう。
既存事業は気にしない!
大手企業や古くからある企業は、既存事業を意識しすぎるところがあります。
新しい取り組みによって新たな収益源を得られるように、既存事業を活かすことは一旦考えず、アイデアを出してみましょう。
身の回りのものと組み合わせてみる
新しい商品やサービスの中には、既存のものを組み合わせて生み出されたものが多くあります。
例)
- コインランドリー×カフェ
- 乳酸菌×チョコレート
- 映画×インターネット配信
常識にとらわれずに身の回りのものを組み合わせてみると、新しい発想が生まれる可能性があるのです。
ターゲットになりきってみる
消費者の共感を得るアイデアを生み出すには、ターゲットになりきってみるのもポイントです。
子育て中の女性、リモートワークの会社員、アウトドア好きの人など、あらゆる状況や嗜好を持つ消費者の立場になって必要なものを考えてみるとアイデアが出てくることがあります。
アイデアに他に負けない独創性があるか確認
既存の商品やサービスに似ていると、他のものと差別化できず、市場に埋もれてしまいます。
アイデアが浮かんだら、他に負けない独創性があるか確認しましょう。
社内外でアイデア募集・公募するのも手
新規事業のアイデアをたくさん集めたいときは、アイデアコンテストを開催して社内外で募集・公募する方法もあります。
キャリア形成につながる、賞金がもらえるなど、応募者のモチベーションが高まる内容にしてアイデアの募集・公募をしてみましょう。
新規事業アイデア事例
新規事業アイデアの事例をご紹介します。
MeeTruck
「MeeTruck」は運送会社向けの配車管理支援システムです。業務効率化によって人手不足という物流業界が抱える課題を解決すべく誕生しました。
電話、FAX、メール、メモ、そして大量の書類。これらを使って行っていた配車管理を、インターネット上で簡単にできるようにしたのです。
ソフトバンクと日通が共同で新会社を立ち上げ、両者が持つ強みを活かすことで生まれた新規事業です。
SPACEE TAKEOUT
「SPACEE TAKEOUT」は、導入費・販売手数料無料、決済手数料もわずか5%で利用できるテイクアウトオーダーアプリです。
店内のセルフオーダーやデリバリーの注文、キャッシュレス決済にも対応。新型コロナ感染対策の取り組みでテイクアウトを取り入れたい飲食店をサポートします。
クラウドローン
「クラウドローン」は、サイト上で全国の銀行から最適なローンを見つけてオンライン申し込みができるサービスです。新しい金融サービスの形ともいえるでしょう。
銀行とローン利用者をサイト上でマッチングすることで、銀行側は集客を増やせる、ローン利用者側は手軽に条件のいい銀行を選べるというメリットがあります。
テイクアウトレンタル
ビックカメラでは、気になったカメラ機材を有料でお試しレンタルできるサービスを行っています。
このサービスは、カメラ機材のサブスクリプションサービス「GooPass」を展開する企業との提携によって生まれたものです。
利用者には高額なカメラ機材を購入する前に試せるメリットがあり、気に入らなければ返却できるシステムになっています。
HR君haichi
「HR君haichi」は、人員配置案の作成をサポートする企業向けサービスです。
人事評価データや社員の基本情報などをもとに、AIを活用して人員配置案を提案します。
人事担当者の悩みを解決し、効率的に業務を推進できるようになるシステムです。
海外事業を参考にするのも良し
成功している新規事業の中には、海外事業の事例を日本に合うようにアレンジしたものが多くあります。
新規事業のアイデアが出ないときは、海外事業を参考にしてみるのもおすすめです。
新規事業を成功させるために確認しておきたいこと
新規事業を成功させるために、確認しておきたいことをチェックしましょう。
新規事業立ち上げのプロセス
新規事業を立ち上げる際は、以下のようなプロセスで進めましょう。
- 課題を設定して新規事業の計画を考える
- 市場調査を行い、事業を展開する領域を決定する
- 経営や事業に関する理念やビジョンを明確にする
- 市場の成長性、将来性など「市場性」を見極める
- ターゲット層に求められている商品・サービスの要件など「事業性」を見極める
- ノウハウや資金、人材など、新規事業を成功させるために必要なものをリストアップし、事業プランを明確にする
- 新規事業の立ち上げに向けて具体的な行動計画を立て、できる限り早めに実行する
新規事業立ち上げに必要なスキル
新規事業立ち上げの担当者には、以下のようなスキルが必要です。
- 関係者やビジネスパートナーへ事業プランの目的、ビジョンをきちんと言語化して伝えられるスキル
- 新規事業の立ち上げに必要な情報、他が掴んでいない正確な情報を収集するスキル
- 他部署や外部パートナーも含むチームをまとめるリーダーシップスキル
- 良い条件で契約するための交渉スキル
新規事業立ち上げの教科書 ビジネスリーダーが身につけるべき最強スキル(著者:冨田 賢)といった本を参考にするのもよいでしょう。
利用したいビジネスフレームワーク
新規事業立ち上げのプロセスを進める際には、以下のようなビジネスフレームワークを利用してみましょう。
- ペルソナ分析:仮想の顧客を想定して、その人が求めるであろう商品やサービスを考える手法
- 3C分析:「Customer(顧客・市場)」「Company(自社)」「Competitor(競合他社)」の3つの観点で分析する手法。自社の強み・弱みをはっきりさせた後に、競合に勝る部分、劣る部分のカバーの仕方を考えていく
- MVV:「Mission(使命)」「Vision(未来像)」「Values(価値観)」の3つの観点で理念やビジョンを明確にする手法。事業を進める中で迷ったときの指針になる。
コンサルティング会社への相談も考慮する
新しい取り組みに挑戦する新規事業には、失敗するリスクもあります。
リスクを抑えたいときは、経営戦略や成長戦略などの新規事業コンサルティングを提供しているコンサルティング会社を活用するなど、専門家に相談することも考慮に入れましょう。
コンサルタントを講師として迎え、研修の一環で新規事業成功ための秘訣を聞く機会を持つのもいいかもしれません。
新規事業に役立てたい助成金・補助金
新規事業を立ち上げる際に、役立てたい助成金や補助金をご紹介します。
【コロナ関連】事業再構築補助金
新型コロナウィルスの影響で売り上げが戻らない中小企業が、新規事業への進出や業態転換、事業再編など新しい取り組みに挑戦する際に申請できる補助金です。
事業再構築補助金 (METI
ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金
中小企業や小規模事業者が行う、革新的なサービスの開発や生産プロセス改善のための設備投資などを支援する補助金制度です。
中小企業の革新的な事業計画策定を支援する民間サービスを対象とした「ビジネスモデル構築型」もあります。
公募要領について|ものづくり補助事業公式ホームページ ものづくり補助金総合サイト
地域中小企業応援ファンド(スタート・アップ応援型)
農林水産物や伝統技術を活用する商品開発や販路開拓など、地域の産業への貢献性が高い新しい事業を行う中小企業などを助成対象とします。
中小企業基盤整備機構「地域中小企業応援ファンド(スタート・アップ応援型)」
大阪起業家グローイングアップ補助金
ビジネスプランコンテストの優秀提案者であり、大阪府内の事業者または大阪府内で起業しようとする方を対象とした補助金制度です。
大阪起業家グローイングアップ補助金の概要
【創業者向け】福岡市新規創業促進補助金
福岡市から特定創業支援等事業の証明を受け、登録免許税軽減を受けたなどの要件を満たしている方を対象に、会社設立時の登録免許税額を支援する補助金制度です。
福岡市 【9月25日(金)募集開始】福岡市新規創業促進補助金のご案内
東京都助成事業の事例集
東京都中小企業振興公社では、創業する方に向けた助成金や支援を用意しています。
- 創業助成事業
- 製品開発着手支援助成事業
- 新製品・新技術開発助成事業
- 革新的サービスの事業化支援事業
- ものづくりイノベーション企業創出道場
公式サイトでは東京都助成事業の支援事例集も見られるので、新規事業の参考にしてみましょう。
支援事例一覧|東京都中小企業振興公社
安定収益を狙える新規事業なら「わおん」
安定収益を狙える新規事業を始めたい方におすすめの福祉事業「わおん」についてご紹介します。
福祉×動物愛護×空き家活用
株式会社アニスピHDは、障害のある方と保護犬・保護猫が一緒に暮らすグループホーム「わおん」を運営しています。
「わおん」は福祉×動物愛護×空き家活用を組み合わせた新規事業で、社会問題の課題解決や社会貢献を目指しています。
ますます需要アップが見込める事業
日本の障害者数は増加傾向にありますが、現状では精神病院の病床数が減っていることもあり、障害のある方を受け入れる施設数は不足しています。
障害者グループホームはますます需要アップが見込める事業のため、安定した新規事業を始めたい方におすすめです。
サポート有りで異業種からの参入もしやすい
「わおん」はフランチャイズより自由度のある経営が可能な「レベニューシェア」というビジネスモデルを採用しています。経営者は必要とする立ち上げ支援や運営サポートのみを選んで受けながら事業計画や経営計画、運営まで行えます。
フランチャイズのように規則通りに事業を立ち上げ・運営しなければならないわけではなく、それでいて必要なサポートは受けられます。そのため、異業種からも参入しやすく、福祉事業が未経験者の場合も経営しやすいのが特長です。
ZOOMでの合同説明会も実施しているので、気になる方はお気軽にお申し込みください。