natural SQUAD株式会社

わおん参画企業からの声

目次


参画のきっかけは?

社長:もともと、母体事業の訪問看護事業で、障害の方の訪問看護にも入っていました。そこで「障害の子の親の高齢化問題(8050問題)」で、子どもの行き先に困っている、ケアーズさんどうにかしてください、という声を多くいただいていたんです。それで「グループホームって、難しいだろうな」と思いながらいろいろ調べている際に、藤田さんの記事を読んで、障害者グループホームに保護犬をコラボさせている、という点が非常に印象的でした。

利用者さんが帰宅した際に、犬との関わりが持てることで、生活に張りが出たり、人生観が変わったり……というエピソードも読んでいたので、いいなと思いました。それがきっかけで、藤田さんの話を聞きたいと思ってアニスピさんに問い合わせをして、藤田さんからの話を聞いたら、よりいいなと思って参画に至りました。

他は検討せず、藤田さんとの話をきっかけに、参画しました。最初、「柴犬コース」で問い合わせしましたが、大きく展開していこうと思い至り、現在「秋田犬コース」で契約をしています。

 なぜ、障害福祉事業を始めようと思った?

サビ管さん:母体事業の訪問看護事業で、利用者の中に障害のある方が多く、おおよそ医療保険と介護保険が半々くらいの割合でいらっしゃったんです。さらに8050問題に直面している利用者さんが多くいました。そんな利用者さんの親御さんは、子どもをすごく大事にされており、「人の目にさらしたくない」と思うような過去を経験している方も多く……。訪問看護が介入することさえ最初はかなり拒まれて、何とかご対応いただいているような状況がありました。

訪問看護事業所として、そういった方々に介入できるような信頼関係を築けるまで、1年くらいかかりました。バッシングを受けながらも諦めずに毎日訪問することで、やっと訪問看護が介入できるような状態となったときに、親御さんから「この子をどこに預けよう」と、いう相談が多くあった。医療職の方が対応してくれるグループホームでないと不安、という声もあり、それならうちでグループホームをつくり、安心して預けられる場所を提供できたら……という流れで、グループホーム事業のスタートを決意したんです。

また、利用者さんの親御さんや、相談員さんからも、ケアーズがやるならグループホームに入りたい・相談したい、という声が多かったのも、障害福祉事業を始めるきっかけとなりました。

開設までに苦労した点

サビ管さん:訪問看護ステーションはやっていましたが、障害福祉事業の書類はまったく未知で、すごく苦労しました。訪問看護ステーションと比べると、グループホームの指定をもらうための書類が倍以上あって、言葉も難しく、まったく分かりませんでした。

わからないからSVさんに聞こう!ということで、その当時ご担当いただいていたSVさんに社長とたくさん質問するも、わからないことがわからない・質問したいことがわからない状態で、かなり苦労しましたね。

物件については、1軒目はすごくスムーズに進みました。空き家活用研究所さん経由です。審査や行政確認もスムーズに通って、特段問題なく、進められました。

ただ、2棟目(1棟目開設から1年後くらい)がかなり難航しました。行政の対応がかなり厳しくなっており、苦労しました。担当が変わったからなのか、全然対応が違いました。

社長:2棟目に関しては、物件が「元・市長の家」という特殊な物件だったこともあり、契約に時間がかかってしまったことが苦労しました。先読みして都庁の予約なども進めていたのですが、来庁の前日にやっと物件の契約が結べて……その時は本当に大変でした。

開設後に苦労した点

サビ管さん:サビ管の資格を取ったものの、サビ管の経験がなく、教えてくれる人もいなかったので苦労しました。看護の計画はリスクヘッジ視点で、福祉の計画はできるところに目を向け、利用者が自立した生活を営むことができる視点。その視点の違いにとても戸惑い苦戦しました。

また、1棟目だと、事業が軌道に乗るまでそんなに人件費もかけられないので、最初は私ともう1人の2名で休みなくシフトを回していました。ものすごく大変でした……。

あとは、運営に必要な、揃えなければいけない書類や請求書類に関しても、何が不足しているかがわからないような状況でしたね。

また、スタッフ側の意識を変えるのも大変でした。ほとんどのスタッフが医療職なのでリスクヘッジ視点が多く、これを福祉視点に統一するのは大変でした。さらにスタッフの人数が多いと、職員の意識を統一するのが難しい。現在、夜勤者含めて30名程度います(内常勤4名)。なるべくスタッフ全員が同じ方向を見て業務にあたりたいけれど、なかには飛び出てしまう職員もいるので、その点を訂正するのが難しいです。

管理者さん:情報共有が難しいですね。ユニットが増えていくと、なかには情報発信が上手なスタッフもいれば、発信力が弱い方もおり、情報の受け取り手によって受け取り方に差が出てしまうケースがあります。その点は、スタッフ研修で指導していく必要があるなと感じています。

また、日勤の方とは常勤職員がコミュニケーションを取りやすくても、夜勤の方となると、なかなか時間が合わないのでコミュニケーションがとりづらい。月に1回しか入らない職員さんもいますので、そこの情報共有の難しさは感じています。

現在、オーナーのグループホーム事業への関わり方は?

社長:事業所を増やすタイミング、物件調査、今後の展開の速度感調整を、現場スタッフと連携して、考えながら検討しています。他の参画企業さんのように、速度感をもって、翌々月にオープン……という方法もあると思いますが、現在の現場の体制を崩しかねないな、と思うところもあるので、今は慎重に進めたいと考えています。

まずは人材定着と、外国人雇用の段階を踏んでいきたいです。

最初は、私自身も現場に入っていました。ずっと看護だったので、障害の方との関わり方は難さを感じました。かなりスタッフからもダメ出しされまして(笑)。今は、夜勤や直接支援員という形ではなく、日中の合間に利用者さんやスタッフさんと話したり、イベントごとに顔を出したりしています。引き続き、障がい者グループホームの現場や利用者さんとの関わりは続けていきたいです。

この事業で大切にしていること、やりがい、醍醐味

管理者さん:母体事業が訪問看護ステーションであったり、自分自身はもともと高齢者介護のケアマネであったりと、私は「利用者さんの生活を支えたい」という思いが強いです。

そのため、まずは利用者さんファースト。もちろん、スタッフも大事に、とは思っていますが、利用者さんのためになることであれば、どんどんしていいよ、というスタンスです。

実際にスタッフさんが率先して、利用者さんと作った作品を掲示したり、誕生日の際の飾りを制作したり、取り組んでくれています。「利用者さんのために」という思いを大切にしたいなと思っています。

社長:訪問看護で、他のグループホームによく行っていました。そこの内情を見ていたら、スタッフファーストになっているグループホームもありました。ルールがスタッフごとに違うことで、利用者さんが合わせなければいけないことが常態化しており、それに気づけないスタッフになっていたんです。客観的にみるとスタッフはすごく働きやすそうでしたが、利用者さんは踏み込めないルールがたくさんあって……その状態を疑問に思うことがありました。

そのため、natural SQUADでは、スタッフには、スタッフファーストと言わせない。それを言わせてしまうと、それがルールになってしまい、利用者さんの意向が後回しになってしまうので。

ですので、スタッフ側は利用者ファーストで、オーナー・運営側はスタッフファーストと、役割によって、何を一番とするのかを分けています。

サビ管さん:natural SQUADでは、保護者・家族まで含めて気を配り、どうしてほしいのか、どのような対応であったら喜んでいただけるのか、必要としている情報は何かまで突き詰め対応をしています。虐待案件の利用者さんもいらっしゃいました。ご家族の状況や家庭環境などそれぞれの根深い悩みもあると思いますが、グループホームに入居後、家族支援も含め支援を実施していたところ、家族の距離感の変化・保護者が抱える悩みや負担などの軽減、離れたことで保護者の変化が伺えたと相談員さんから報告を受けたときにはとても嬉しかったです。

アニスピに参画して良かった点は?

社長:

・藤田さんと直接話ができたこと。連絡先まで教えてもらい、いつでもかけていいよ、と言ってくださったことは、参画して良かったなと思いました。

・障害福祉事業については、SVさんが細かく教えてくださったり、すぐ書類を送ってくださったりと、オープン当初は非常に助かりました。混乱して、夜中にたくさん連絡を入れても、冷静に対応してくれたSVさんはとても心強かったです。

・訪問看護を母体事業で運営していることで、SVさんが会社の強みを活かす方法を提案してくださり、医療連携などこういう風に展開していったらどうですか……等、事業の幅を広げてくれました。わおんに参画したことで、やりたいことが山ほどでてきて、会社として展開が止められない状況にしてもらいました(笑)。

 管理者さん:

・福祉リベンジャーズ(注:アニスピ総会 第一回「福祉リベンジャーズ」)で賞をいただいて、その際に両国国技館のステージに立ったときには、福祉に関わっている人間がこういう場所に立てるのだな、という気持ちになりました。このような機会は、アニスピさんに参画して藤田さんという人間と関わらない限り、一生できない経験だなと思い、すごくいい刺激になりました。

・私たちは、かなり条件を大切にして物件を選んでいます。ただ、先日の「友の会」(注:不定期開催の参画企業向けの勉強会、兼、参画企業同士の交流会)で、他の事業所さんの話を聞くと「そこまで物件の条件を気にする必要もないよね」という、自身とまったく反対の意見もあり、そういう考え方もあるのだなと気づきになりました。そういう場があるのは、自社と他社の比較ができて、非常に勉強になるなと思いました。

・今まで、どこまでSVさんに頼っていいのか不安でしたが、現在は、SVさんに対してとても質問しやすく、レスポンスも早くて、こんなにSVさんに頼っていいんだ、というくらい活用しています。SVさんと二人三脚ができるのはとても安心です。

 「こんなことをしたから、現在成功している」等の成功談

社長:

一般的には、障害者グループホーム2ユニットだと黒字にならないと思いますが、母体事業の訪問看護が入っているので、2棟でも黒字化できています。そのぶん、訪問看護の運営はかなり大変ではあります。ただ、グループホームの開設の速度感については、2棟で黒字化できていることで、他より調整できるし、次の開設に向けて人件費をかけられる状況になっており、半年前から追加開設に向けて人材の確保ができるのは、とてもありがたいことだと思います。

今後の展望

サビ管さん:来年の頭に、就労B型を立ち上げる予定です。また、キッチンカーも検討中。スタッフに調理士がおり、その方のご飯がとても美味しいんです。
美味しいごはんを毎日食べることは、精神的健康につながり、人間関係やコミュニケーションの形成にも役立ち社会性を高める側面もあると感じているので、そんな「ごはん」を外部にも提供できたらと考えています。
加えて、会社で畑を借りており、野菜を育てています。東京地球農園という場所で、利用者さんが野菜にお水をあげたり、収穫したりしています。これは就労ではなく、natural SQUADのグループホームに入ると提供されるサービスのうちの1つ。常勤スタッフに、畑担当の方がおり、日中、畑の対応をしてくれています。野菜がどんなふうにつくられているのか、その野菜を食べるにはこんな作業が必要になるのか、ということを、スタッフも利用者さんも体験できると、食育にもつながると思っています。

ご飯が美味しすぎて、利用者さんの体重が増加傾向にあるので、その対策も含めて畑作業をできるようにしています(笑)。

社長:地方への障がい者グループホーム展開を検討中です。ただ、地方で展開していくと、事業実態が常に見える状況ではなくなるので、今のあきる野市での運営を基盤として、しっかりと事業を固めたうえで、地方で試していきたいなと思っています。

これから参画する方に向けて、先輩オーナーからひと言

管理者さん:良い物件を見つければ成功できると思っています。まずは物件探しを頑張ってほしいです。また、担当SVさんと協力しながら、一緒に成長しながら動いていくことが大切。行政相談や運営に関して、困ったときに、自身ができないところの穴を通してくれるのがSVさんだと思うので、SVさんを積極的に活用していくといいと思います。

新規事業の立ち上げは大変なことが多いですが、スタッフ同士でいいチームを作ってほしいですね。管理者とサビ管が不仲だと、事業としてもいい方向に進んで行きません。新しいことをやりたいからといって既存のものをおろそかにすると、他のスタッフとの温度差も出てきてしまい、守らなければいけないものが守れず、周りからの反感も買いやすい。チーム一丸となって、足並みを揃えて取り組んで行ってほしいですね。アニスピさんと協力しながら、いいチームをつくり、楽しんで事業を進めてほしいと思います。

また、わおんに参画している事業者同士の横のつながりを、大切にしていってほしいです。

あきる野市周辺で参画する方は、是非、連携していければと思いますので、声をかけてください。

サビ管さん:精神障害特化のグループホームですが、利用者さんの中には知的障害・身体障害の方もおり、総合的に障害の方を見ています。障害のある方は、実際のところ、誰かのサポートがないと生活できない方がほとんど。ですので、利用者を受け入れたら「出ていってください」と簡単に言うような対応はできません。「この人たちを一生かけて守るんだ」というくらいの強い思いで、この事業と向き合ってほしいです。