介護の現場では資格保有者が活躍していますが、資格がなくても介護士になることはできます。
無資格者はどのような仕事をするのでしょうか。
また、キャリアアップを目指すにはどのような資格が必要なのでしょうか。
今回の記事では、キャリアアップにおすすめの介護資格、学歴別の介護福祉士を目指す方法などを詳しく解説します。
介護士になるには
介護士になるには、資格が必要ない場合もあります。
介護福祉系の資格取得者でなくても介護士になれる理由や、無資格者の仕事内容についてチェックしてみましょう。
資格がなくてもなれる
日本は、65歳以上の人口が全人口の21%を超える「超高齢社会」となっています。
令和2年版高齢社会白書によると、2019年の総人口は1億2,617万人、そのうち65歳以上74歳以下の人口は1,740万人、75歳以上の人口は1,849万人です。
2025年には第一次ベビーブームで生まれた団塊の世代が後期高齢者となり、75歳以上の人口は2,180万人に増加します。
2065年には約3人に1人が65歳以上、約4人に1人が75歳以上になることが予想されているのです。
介護業界では慢性的な人手不足が深刻な問題になっていますが、今後も介護サービスを利用する高齢者が増えていくことから資格がなくても雇用されやすくなっています。
出典:内閣府「令和2年版高齢社会白書」
https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2020/html/gaiyou/s1_1.html
ただしできる仕事が限られる
無資格者でも介護士になることは可能ですが、訪問介護では食事介助や入浴介助、排泄介助など利用者のからだに直接触れる「身体介護」は資格保有者しか行えません。
介護施設の場合は、介護福祉士の指示のもとであれば身体介護を行えますが、無資格者は介護助手として介護業務をサポートするのが主な役割です。
キャリアアップを目指すなら資格取得
介護の仕事は無資格でもできますが、有資格者と比べると業務に制限があります。
また、資格保有者の方が給料が高い傾向にあるため、介護士としてキャリアアップを目指すなら資格取得にチャレンジしましょう。
ここでは、介護士の代表的な資格を4つ紹介します。
介護職員初任者研修
介護職員初任者研修は介護の入門資格といわれているもので、介護の基礎知識や技術を身につけられます。
養成校で130時間の講習を受け、修了試験に合格すれば資格を取得できます。
受講条件は特になく、実務経験がない人も挑戦可能です。
介護福祉士実務者研修
介護福祉士実務者研修は介護職員初任者研修の上位資格で、専門的・実践的な介護のスキルが身につけられます。
養成校で450時間の講座を受けて修了すれば資格を取得できます。
受講条件は特にないので、実務経験や資格がない人でも挑戦できます。
介護資格保有者は受講科目が一部免除になり、短期間で資格取得が可能です。
【保持資格別・免除時間】
- 介護職員初任者研修:130時間
- 介護職員基礎研修:400時間
- ホームヘルパー3級(旧資格):30時間
- ホームヘルパー2級(旧資格):130時間
- ホームヘルパー1級(旧資格):355時間
参考:https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/care/dl/care_11.pdf
ケアマネジャー(介護支援専門員)
ケアマネジャーは、適切な介護サービスを提供するためのケアプランの作成・給付管理業務などを行う職業です。
ケアマネジャーとして働くには、「介護支援専門員実務研修受講試験」に合格した後、介護支援専門員実務研修を修了、3か月以内に登録申請が必要です。
受験資格は、以下のいずれかに当てはまる人です。
- 社会福祉士や介護福祉士など特定の国家資格を保有し、実務経験が通算5年以上かつ従事した日数が900日以上
- 生活相談員、支援相談員など相談援助業務に従事し、実務経験が通算5年以上かつ従事した日数が900日以上
認定介護福祉士
認定介護福祉士は介護福祉士の上位資格として介護サービスの質の向上を目的に、2015年からスタートした民間資格です。
現状、介護福祉資格の最上位資格で、「認定介護福祉士養成研修」の受講(600時間)・修了(修了評価として筆記・実技試験も伴う)で資格を得られます。
ただし、「介護福祉士にかかる実務経験が5年以上」などの受講条件があるため、まずは介護福祉士の資格取得が必要です。
【学歴別】介護福祉士を目指す方法
介護業界でキャリアアップするなら、介護士のなかで唯一の国家資格となる介護福祉士を目指すのがおすすめです。
学歴別に介護福祉士を目指す方法を紹介します。
中学生が進学して介護福祉士を目指すなら福祉系高校ルート
中学生が進学をした上で介護福祉士を目指す場合は、福祉系高校または特例高等学校に進学して受験資格を満たす福祉系高校ルートがあります。
福祉系高校ルートでの介護福祉士試験の受講資格は、以下のいずれかの条件に当てはまる人です。
- 平成21年度以降に福祉系高校に入学し、新カリキュラムを修了して卒業した人(卒業見込みも含む)※新カリキュラムを修了して卒業した人は、実技試験が免除されます。
- 平成20年度以前に福祉系高校に入学し、旧カリキュラムを修了して卒業した人※実技試験の免除を申請する場合は、介護技術講習の修了が必要です。
- 平成21年度以降に特例高等学校に入学し、必修科目・単位数を修了して卒業後、9ヶ月以上かつ従事日数135日以上の介護業務の実務経験がある人※実技試験の免除を申請する場合は、介護技術講習の修了が必要です。
これから進学するなら、 新カリキュラムまたは特例高校の条件を満たすことで介護福祉士を目指せます。
高校生が進学して介護福祉士を目指すなら養成施設ルート
高校生が進学のうえ介護福祉士を目指す場合は、四年制大学・短期大学・専門学校などの養成施設に進学して卒業することで介護福祉士の受験資格を得られます。
養成施設ルートの受験資格は、以下のいずれかの条件に当てはまる人が対象です。
- 高校卒業後、介護福祉士養成施設(2年制以上)を卒業した人
- 高校卒業後、福祉系大学・社会福祉養成施設・保育士養成施設のいずれかを卒業、その後に介護福祉士養成施設(1年制以上)を卒業した人
以前、養成施設の卒業者は国家試験を受けずに介護福祉士の資格を取得できましたが、現在は国家試験の受験、合格が必須となっています。
ただし、経過措置で、2016年度から2026年度までの卒業者は卒業後5年の間は未受験・不合格でも介護福祉士の資格を得られます。
この場合、介護福祉士の資格を継続するには、卒業後5年の間に国家試験に合格するか、介護業務に5年間従事する必要があります。
それでは養成施設となる大学例を見てみましょう。
大学例①日本社会事業大学
東京都清瀬市にある日本社会事業大学では、福祉援助学科の保健福祉コース、子ども・家庭福祉コース、介護福祉コースの3つのコースで介護福祉士の資格取得を目指せます。
介護福祉コースでは高齢者や障害のある方への支援に必要な介護スキルを身につけられ、社会福祉士と介護福祉士の2つの国家資格取得も可能です。
詳しくはこちら↓
日本社会事業大学
大学例②大阪健康福祉短期大学
大阪府堺市にある大阪健康福祉短期大学では、介護福祉学科で介護福祉士に必要な実践的な知識・技術を身につけられます。
地域と連携し、介護現場で実際に利用者と触れ合いながら学ぶことができます。
詳しくはこちら↓
大阪健康福祉短期大学
最終学歴が中卒・高卒で進学しないなら実務経験ルート
最終学歴が中卒・高卒で進学しない場合は、介護業務の経験を積んで受験資格を得る方法を取ります。
実務経験ルートで受験資格を得るためには、以下のいずれかの条件に当てはまる必要があります。
- 介護業務の実務経験が3年以上かつ従事日数が540日以上あり、実務者研修を修了している人
- 介護業務の実務経験が3年以上かつ従事日数が540日以上あり、介護職員基礎研修と喀痰吸引等研修を修了してる人
実務経験ルートの受験資格を満たしていると、実技試験は免除されて筆記試験のみになります。
社会人が介護福祉士を目指すなら実務経験ルートor養成施設ルート
実務経験のない社会人が介護福祉士を目指す場合は、それぞれの事情によって最適なルートが異なります。
介護士としてすぐに働きたい人は、無資格から実務経験を3年以上積んで実務者研修の修了する「実務経験ルート」で介護福祉士の資格取得を目指すとよいでしょう。(最終学歴が中卒の社会人の方も近道となる実務経験ルートがおすすめです。)
高卒以上の学歴がある人は、実務経験ルートの他に養成施設ルートで、より短期間で資格取得を目指すこともできます。
夜間スクールなどもあるので、介護業界以外で働きながら養成施設を卒業することも可能です。
実務経験の範囲
実務経験ルートでの実務経験の範囲は、以下の分野と職種・業務に定められています。
分野 | 職種・業務 |
【児童分野】
知的障害児施設・放課後等デイサービスなど |
【入所者の保護に直接従事する職員】
保育士・介助員・看護補助者など |
【障害者分野】
共同生活援助(グループホーム)・障害者支援施設など |
【主たる業務が介護等の業務である者】
介護職員・生活支援員・世話人など |
【高齢者分野】
老人デイサービスセンター・特別養護老人ホームなど |
【主たる業務が介護等の業務である者】
介護職員・介助員など |
【その他の分野】
救護施設・地域福祉センターなど |
【主たる業務が介護等の業務である者】
介護職員・看護補助者など |
【介護等の便宜を提供する事業】
地方公共団体が定める条例・実施要綱等に基づく事業など |
【主たる業務が介護等の業務である者】
介護職員・訪問介護員など |
実務経験ルートで資格取得を目指す場合は、範囲に該当する職種を選びましょう。
障害者グループホーム「わおん」で介護士経験を活かす、積む
「わおん」は、障害のある方と保護犬・保護猫がともに暮らすペット共生型障害者グループホーム(共同生活援助)です。
障害者グループホーム「わおん」では、介護士経験を活かしたい・実務経験を積みたいという人にぴったりの職種を募集しています。
介護福祉士資格でサービス管理責任者を目指す
障害福祉サービスを提供する多くの事業所では、利用者に最適な支援を実施できるよう、個別支援計画の作成や関係機関との調整、スタッフへの助言・指導などを行う「サービス管理責任者」の配置が義務付けられています。
サービス管理責任者になるには一定の実務経験と研修修了が必要ですが、実務経験年数は携わった業務内容や保有資格によって変わってきます。
介護福祉士の資格保有者は、相談・直接支援の業務に従事し、介護福祉士による業務経験が1年以上あればサービス管理責任者等基礎研修を受講するための実務経験を満たします。基礎研修を修了すれば、2人目のサービス管理責任者として配置されることも可能です。基礎研修修了から2年以上さらに実務経験を積み、実践研修を修了すれば、正式なサービス管理責任者として勤務できます。
介護福祉士といった規定の国家資格の有資格者に該当しない場合は正式なサビ管になるのに5年~8年以上実務経験が必要です。そのため、介護福祉士の資格を持っていれば最短でサービス管理責任者になることが可能です。
全国各地の「わおん」では、サービス管理責任者の募集をしています。
介護福祉士の資格を持っていれば、わおんで経験を積みながらサービス管理責任者の資格を取得することも可能です。
仕事内容や応募資格などはこちらからご確認ください。
無資格・未経験でも応募できる職種
「わおん」で働く「世話人」「生活支援員」「夜間職員」は、基本的に無資格・未経験でも応募できます。
それぞれの職種について紹介します。
世話人
世話人は、料理や掃除などの家事のサポートや生活相談業務などを行います。
家事が好きな人に向いている仕事で、介護資格がなくても応募可能です。
「わおん」での世話人の採用情報はこちら
生活支援員
生活支援員は、入居者の入浴・排せつ・食事などの介助やサポートを行うのが主な仕事です。
生活支援員の資格や実務経験などの条件は特にないため、未経験者・無資格者でも応募できる求人もあります。
「わおん」での生活支援員の採用情報はこちら
夜間職員
夜間職員は入居者の就寝・起床サポートや夜間の見守り、緊急対応、朝食づくりなどを行う仕事です。
わおんでは、保護犬の朝ごはんやお散歩を担当することもあります。
資格や経験がなくても応募できるので、夜間にできる仕事を探している方は候補に入れてみてはいかがでしょうか?
夜間職員の採用情報はこちら↓
北海道、東北、東京・千葉など関東、新潟、静岡、愛知、大阪・兵庫など関西、長崎、沖縄
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