介護福祉士とは?仕事内容や資格取得方法、2021年度国家試験の概要

福祉の仕事をしたい方コラム

専門的な知識や技術をもって高齢者や障害のある方のサポートをする介護福祉士。資格を取得すると、キャリアアップにもつながります。

介護福祉士になるにはさまざまなルートがありますが、最終的には国家試験に合格する必要があります

今回は、介護福祉士について詳しく知りたい方に向けて、介護福祉士の仕事内容や資格取得方法、2021年度国家試験に関する情報などを紹介します。

 

介護福祉士とは

介護福祉士とはどのような職業なのでしょうか。
介護福祉士の特徴や仕事内容、平均年収などについて紹介します。

 

介護にまつわる国家資格

介護福祉士は介護にまつわる専門職で、介護系で唯一の国家資格です。

医師や看護師のように「業務独占」ではなく「名称独占」なので資格を持っていない人でも介護福祉士の仕事はできますが、有資格者のみが「介護福祉士」と名乗ることができます

 

仕事内容

介護福祉士は専門的な技術や知識を活かし、身体・精神機能の低下によって日常生活を送るのが難しい高齢者や障害のある方の支援を行うのが主な仕事です。

他にも、利用者家族への介護指導や介護スタッフのまとめ役なども担います。

 

【サービス利用者・施設入所者に対する主な業務】

身体介護 食事・排泄・着替え・入浴の補助、歯磨きや洗顔などの衛生管理、歩行・ベッドから立ち上がる際の補助など
生活サポート 調理、買い物、洗濯など日常生活のサポート
メンタルケア 話し相手になる、利用者同士が交流できるようにする

 

【家族に対する主な業務】

相談対応・介護指導・アドバイス 生活・介護などの相談に乗る、介護用具の使い方指導、介護にまつわるアドバイス

 

【介護職員に対する主な業務】※リーダーや介護主任等になった場合

チームマネジメント 業務管理、スタッフ教育

 

主な職場

介護福祉士はさまざまな職場で活躍できます。
主な職場は以下の通りです。

  • 特別養護老人ホーム
  • 有料老人ホーム
  • 介護老人保健施設
  • デイサービスセンター
  • グループホーム
  • 身体障害者療護施設
  • 訪問介護事業所
  • 医療機関

 

平均年収・月給

「求人ボックス 給料ナビ」によると、2021年8月時点の介護福祉士の平均年収は約306万円、月給換算26万円とされています。

平均年収は高いとはいえませんが、勤務先によって資格手当や夜勤手当などがつく場合もあります

また、介護福祉士の資格を活かし、リーダー職に就くことで給与アップも目指せるでしょう。

出典:求人ボックス 給料ナビ

 

介護福祉士受験資格の取得ルートは3つ

勉強する人

介護福祉士になるには、受験資格を得たうえで国家試験に合格しなければなりません

介護福祉士受験資格の取得ルートは、大きく分けて3つです。

それぞれのルートの詳細をチェックしてみましょう。

 

①福祉系高校ルート

介護福祉士資格取得方法の1つ目は、「福祉系高校ルート」です。
以下のいずれかに当てはまる人は、受験資格を得ることができます。

  1. 福祉系高校を卒業した人
  2. 福祉系特例高等学校を卒業したあと9ヶ月以上の介護等の業務に従事した人

 

②介護福祉士養成施設ルート

介護福祉士資格取得方法の2つ目は、「介護福祉士養成施設ルート」です。
以下のいずれかに当てはまる人は、受験資格を得ることができます。

  1. 高等学校等を卒業したあと、2年以上の介護福祉士養成施設に通学、卒業した人
  2. 高等学校等を卒業したあと、福祉系大学等・社会福祉士養成施設等・保育士養成施設等のいずれかを卒業し、1年以上の介護福祉士養成施設に通学、卒業した人


2016年度までの養成施設卒業者は、試験を受けなくても介護福祉士になれました

しかし、その後は養成施設卒業者も国家試験合格が資格取得要件となっています。

ただし、2017〜2026年度までの卒業者に対しては経過措置が設けられており、試験なしでも卒業後5年間の期限付きにて介護福祉士の資格取得が可能です。

継続して資格を得るには、以下のいずれかの条件を満たす必要があります。

  1. 卒業後5年間のうちに国家試験に合格する
  2. 卒業後5年間継続して介護等の業務に従事する

2027年度以降の卒業者は、国家試験に合格しないと介護福祉士の資格は得られません。

 

③実務経験ルート

介護福祉士資格取得方法の3つ目は、「実務経験ルート」です。
以下のいずれかに当てはまる人は、受験資格を得ることができます。

  1. 3年以上(従業期間1095日以上かつ従事日数540日以上)介護等の業務に従事し、実務者研修を修了した人
  2. 3年以上(従業期間・従事日数は上記同様)介護等の業務に従事し、介護職員基礎研修と喀痰吸引等研修を修了した人


介護職員基礎研修は2012年度で廃止されているため、現在は受講できません。

介護職員基礎研修を修了していない人は、「実務経験3年+実務者研修」のパターンのみになります。

また、実務経験ルートの場合、受験申し込みの際に実務経験証明書の提出が必要です。

受験申し込みまでに実務経験を満たしていない場合でも、試験実施年度の3月末までに条件を満たす見込みがあれば試験を受けられます。

ルートとしてはもうひとつ、インドネシア、フィリピン、ベトナム(2021年時点)の方が日本の介護施設で就労しながら介護福祉士の資格取得を目指す「経済連携協定(EPA)ルート」もあります。

 

介護福祉士実務者研修とは

介護福祉士実務者研修は廃止された「ホームヘルパー1級」に当たるもので、「介護職員初任者研修」の上位資格になります。

介護職未経験でも受講可能で、資格を取得すると介護福祉士だけでなくサービス提供責任者も目指せます。

詳しくはこちら↓
介護福祉士実務者研修とは|資格取得方法とスクールの受講内容、費用補助

 

受験には実務者研修修了証明書が必要

実務経験3年+実務者研修」のパターンで受験する場合、受験申し込みをする際に「実務者研修修了(見込)証明書」が必要です。

実務者研修を修了した際に交付されるので、対象者は受験申込書類に添付して申し込みましょう。

詳しくはこちら↓
http://www.sssc.or.jp/kaigo/shikaku/k_08_4.html

 

実技試験を受けるのは一部パターンのみ

介護福祉士国家試験は筆記試験と実技試験がありますが、ほとんどの場合実技試験は免除になります。

実技試験を受けるのは、福祉系高校ルートの以下のパターンです。

  1. 2008年度以前に福祉系高校を卒業し、介護技術講習・介護過程・介護過程Ⅲのいずれかを修了・履修していない人
  2. 特例高校を卒業したあと9ヶ月以上の実務経験を経て、介護技術講習・介護過程・介護過程Ⅲのいずれかを修了・履修していない人

※「経済連携協定(EPA)ルートでも実技試験を受けるパターンがあります。

詳しくはこちら↓
http://www.sssc.or.jp/kaigo/shikaku/k_07.html

 

介護福祉士試験で知りたいこと

介護福祉士試験はいつ実施されるの?これまでの合格率は?など、介護福祉士試験で知りたいことについて解説します。

 

第34回(2021年度)介護福祉士国家試験概要

介護福祉士国家試験は、毎年1回・筆記試験は例年1月、実技試験は3月に実施されます。

次に実施されるのは「第34回(2021年度)介護福祉士国家試験」です。

受験申し込み期間や受験日などの試験概要は以下の通りです。

申込期間 2021年8月18日(水)〜9月17日(金)まで
受験日 筆記試験:2022年1月30日(日)

実技試験:2022年3月6日(日)

試験地
  • 筆記試験:35都道府県

【北海道】北海道

【東北】青森県・岩手県・宮城県・秋田県・福島県

【関東】群馬県・埼玉県・千葉県・東京都・神奈川県

【中部】新潟県・石川県・長野県・岐阜県・静岡県・愛知県

【関西】京都府・大阪府・兵庫県・和歌山県

【中国】鳥取県・島根県・岡山県・広島県

【四国】香川県・愛媛県・高知県

【九州・沖縄】福岡県・長崎県・熊本県・大分県・宮崎県・鹿児島県・沖縄県

  • 実技試験:2都府

東京都・大阪府

受験手数料 18,380円
合格発表日 2022年3月25日(金)

詳しくはこちら↓
http://www.sssc.or.jp/kaigo/gaiyou.html

 

第33回(2020年度)の合格率は?

第33回介護福祉士国家試験は、筆記試験は2021年1月31日(日)、実技試験は2021年3月7日(日)に実施されました。

厚生労働省発表によると合格率は以下の通りです。

受験者数 84,483人
合格者数 59,975人
合格率 71.0%

出典:https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_17324.html

 

合格率の平均

介護福祉士国家試験はこれまで33回実施しており、受験者数の総計は263万4873人となっています。

そのうち合格した人は147万9605人、平均合格率は56.2%です。

それでは、直近5年間の合格率もチェックしてみましょう。

受験者数 合格者数 合格率
第29回 7万6323人 5万5031人 72.1%
第30回 9万2654人 6万5574人 70.8%
第31回 9万4610人 6万9736人 73.7%
第32回 8万4032人 5万8745人 69.9%
第33回 8万4483人 5万9975人 71.0%

出典:https://www.mhlw.go.jp/content/12004000/000757036.pdf

5年間の合格率は70%前後となっており、国家試験の中では難易度が高い方ではありません。
きちんと試験対策をすれば、合格が目指せる資格といえるでしょう。

 

過去問を確認

介護福祉士国家試験の筆記試験では、以下のような内容が出題されます。

  • 人間の尊厳と自立
  • 人間関係とコミュニケーション
  • 社会の理解
  • 介護の基本
  • コミュニケーション技術
  • 生活支援技術
  • 介護過程
  • 発達と老化の理解
  • 認知症の理解
  • 障害の理解
  • こころとからだのしくみ
  • 医療的ケア
  • 総合問題

筆記試験の合格基準は60%程度とされています。
出題範囲がそれなりに広いため、過去問を確認して出題パターンを把握しておくことが大切です。
繰り返し過去問を解きながら、間違えたところを復習して理解しましょう。

 

第31~33回までの過去問

第31~33回までの過去問は、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターのHPで確認できます。

詳しくはこちら↓
http://www.sssc.or.jp/kaigo/past_exam/index.html

 

無料アプリ

​​効率よく学習したい方には、無料アプリ「介護福祉士暗記カード+過去問 解説付」がおすすめです。

第24回(2013年度)※App Storeは第25回〜第32回(2019年度)までの過去問が解説付きで収録されており、カラー付箋機能や学習記録機能、分野別出題機能など、機能も充実しています。

アプリのダウンロードはこちら↓
App Store

Google Play

 

介護福祉士資格について気になること

履歴書

介護福祉士資格を取得したあとの手続きなども気になるところです。
ここでは、試験合格後の手続きや氏名が変わるときの手続き、履歴書への書き方について紹介します。

 

試験に合格した後の手続き

試験に合格したあとは、資格登録が必要です。
登録申請書や登録の手引は合格証書と一緒に送られてくるので、忘れずに登録申請しましょう。

【登録手続きの流れ】

  1. 必要書類を用意して簡易書留で提出する
  2. 試験センターで受理されたあと審査を経て登録簿に登録される
  3. 不備がなければ1ヶ月程度で登録証が交付される

【登録免許税/登録手数料】
9,000円/3,320円

詳しくはこちら↓
http://www.sssc.or.jp/touroku/shinki.html

 

氏名が変わるときの手続き

氏名が変わるときは、登録証の記載内容を変更する届け出が必要です。
変更登録の手引は、登録証の交付の際に一緒に送られてきます。

【氏名変更手続きの流れ】

  1. 登録事項変更届出書や戸籍抄本の原本など必要書類を用意して、簡易書留で提出する。
  2. 不備がなければ1ヶ月程度で新しい登録証が交付される。

【登録事項変更手数料】
1,200円

詳しくはこちら↓
http://www.sssc.or.jp/touroku/henkou.html

 

履歴書への書き方

介護福祉士の資格取得者が履歴書に資格について書く際は免許・資格欄に記入します。
介護福祉士は正式名称のため、そのまま記載すればOKです。

取得年月には、登録証に記載されている日付を記入しましょう。

【記入例】

免許・資格
令和4年 4月 介護福祉士 取得

ほかにも取得した資格がある場合は、取得順に正式名称で書きましょう
資格を取得していると、就職・転職活動において優遇される可能性が高いので、必ず記入しましょう。

 

介護福祉士の資格を障がい福祉で活かす

介護福祉士というと高齢者介護のイメージが強いかもしれませんが、障がい福祉の現場でも介護福祉士の知識や技術は求められています。

 

サービス管理責任者を目指す

障がい福祉に関するサービスは多数ありますが、その関連施設のほとんどに配置しなければならないのが「サービス管理責任者」です。

利用者にどのようなサービスを提供するかを盛り込んだ計画書を作成し、その実施状況や結果をみて、サービス内容を調整していくのが主な役割で、サービスの根幹を担っています

「管理」と付く通り、ほかのスタッフを指導するリーダー的な存在でもあります。

サービス管理責任者は研修を受けることで取得できる資格です。ただし、一定の実務経験を持つことが研修を受講するための要件となります。

介護福祉士の資格を持っていると、実務経験がほかのケースより短くても研修を受けられる可能性があります。

 

障がい者グループホーム「わおん」サービス管理責任者募集中

障がい者グループホーム「わおん」は、保護犬・保護猫と一緒に生活できる全国でも珍しい施設です。

人とのコミュニケーションが苦手な利用者でも、わんちゃんや猫ちゃんのことについてなら話せるなど、動物を介することで人との交流がスムーズにいくことがあります。

ペットがいることは働く側にも、利用者との距離を縮めやすいというメリットをもたらします。

「わおん」の施設は全国各地にあり、サービス管理責任者の求人も多数あります

介護福祉士としての経験・知識を活かして資格を取得し、少人数の利用者とペットが暮らすグループホームで、新たな経験をしませんか?

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