障害福祉事業は、法律に則って、行政の認可のもと行う事業である。
そのため、運営するための基準や、人員基準、設備に関する基準は、全て、この「障害者総合支援法」に記載があり、この法律に則って運営をしていく。
ただ、その法律の解釈は、各指定権者に委ねている部分も多く、とても細かい部分に関しては、各エリアで多少異なる解釈が出ていることがある。
今回は、障害者グループホームと呼ばれる「共同生活援助」事業は、どのような基準で成り立っているのか、詳しく見ていきたい。
共同生活援助とは
共同生活援助は障害者グループホームとも呼ばれ、知的・身体・精神に障害のある方が援助を受けながら共同生活を送れる障害福祉サービスのこと。
介護サービス包括型・日中サービス支援型・外部サービス利用型の3類型がある。
- 介護サービス包括型…介護サービスを事業所が提供する。生活支援員を配置する。
- 外部サービス利用型…介護サービスを受託居宅介護サービス事業者が提供する(事業所が契約)。
- 日中サービス支援型…常時介護を要する者に対し、昼夜を通じて介護サービスを事業所が提供する。
共同生活援助は障害者グループホームのことで、障害福祉サービス(訓練等給付)のひとつ。施設には家事援助や日常生活での相談を受ける世話人、食事や入浴、トイレなどの介護支援を行う生活支援員などの職員がいて、日常生活上の援助や介護支援を受けながら共同生活を送れる。
住宅形態は一軒家やアパート、マンションなどで、1住居あたりの定員は2名〜10名、既存の建物を利用する場合は20名以下または30名以下。
共同生活援助は、入所施設(障害者支援施設) をただ小規模にしたものではない。地域にある一般的な住宅で、利用者一人ひとりが各々にあった支援を受けながら自立した暮らしを目指せる生活の場である。
関連法令(確認・手続き部署)
- 障害者総合支援法(市町村障害福祉担当課)
- 消防法(消防署:火災報知設備、火災通報装置、スプリンクラー等の消防用設備の設置等)
- 建築基準法(建築安全センター、市町村(同法所管課))※検査済証(確認済証、建築台帳記載事項証明書、建築計画概要書等)
- 都市計画法(市町村(同法所管課))
- バリアフリー法(市町村(同法所管課))
- 農地法(農業委員会)
- 給食施設等の届出(保健所)
- 労働基準法(労働基準監督署)
運営基準
- 利用者負担を求めることができる費用
食材料費、家賃、光熱水費、日用品費
※注意※ 利用者負担を求めることができる費用については、以下の点にご留意ください。
・費用の内容、内訳を明示(運営規程に明記)すること。内容が曖昧な費用徴収は認められない。
・費用の内容、内訳に関し、その妥当性を障害者支援課に確認すること。
・費用の徴収に際し、利用者の同意を得ること。 - バックアップ施設(支援体制の確保)
障害者支援施設等をバックアップ施設として定めること(相手方の了承を得て協定書等を取り交わすこと)。 - 協力医療機関
利用者の病状の急変等に備えるため、あらかじめ、相手方の了承を得た上で、協力医療機関を定め協定書を取り交わしておくこと(協力歯科医療機関を求める地域もあり。いずれも近距離にあることが望ましい。)。 - 指定短期入所の併設(日中サービス支援型)
共同生活援助事業所と併設又は同一敷地内において、指定短期入所(空床型を除く)を行うこと。 - 協議の場の設置等(日中サービス支援型)
地方公共団体が設置する協議会等に対して、定期的に事業の実施状況を報告し、評価を受けるとともに、要望・助言等を聴く機会を設けること。
※ グループホームの入居者が、一住民として地域生活を送るために、事業所の開設に際して近隣住民の理解を得ておくことが望ましい。 - 義務付けられた研修・委員会の実施
虐待防止・身体拘束の禁止・感染症対策・BCP・避難訓練等 - 掲示物の設置
・掲示が必要なもの
指定通知書、運営規定、契約に関わる書類(ひな形)、重要事項説明書、緊急時連絡先、連携医療機関の連絡先、虐待防止窓口、苦情受付窓口、職員の勤務形態、献立、各種マニュアル(虐待防止、事故対応、感染症対策、BCP等)
・あると望ましい掲示物
避難経路、その他利用に関わる掲示物 - 記録
利用者の入退去に関わる記録、また、個別支援計画の更新、個別支援に基づいた日々のサービス提供の記録等、利用者に関わる記録を残すこと。
また、その提示を利用者に求められた際に、提示できるような形とすること。
保管義務は5年間 - その他
・内容及び、手続きの説明および同意
・関係機関との連絡調整、利用者が必要とする支援・援助の提供
・秘密保持
・運営規定・契約書に記載する、事業所の運営に関わる内容
人員基準
- 日中サービス支援型の追加要件
・世話人及び生活支援員のうち1人以上は常勤でなければならない。
・ 常時の支援体制を確保するため、共同生活住居ごとに、1日を通じて1人以上の世話人又は生活支援員 を配置しなければならない。 - 職員の配置時間帯
世話人及び生活支援員については、夜間支援時間以外の時間帯に必要な員数を確保する。 夜間支援時間は、利用者の生活サイクルに応じて、1日の活動終了時刻から開始時刻までを基本として 事業所ごとに設定することができるが、最低限22時から5時までは必ず含める必要がある。
設備基準
- 立地
「病院」、「障害者支援施設」等と同一敷地・隣接地でないこと。
※住宅地又は住宅地と同程度に家族や地域住民との交流の機会が確保される地域の中にあること。 - 定員
・介護サービス包括型・外部サービス利用型
※新築建物は10名以下 ※既存建物は20名以下 ※都道府県知事が特に必要と認める場合は30名以下
・日中サービス利用型
※20名以下+短期入所1~5名 ※都道府県知事が特に必要と認める場合は30名以下 - 事業所【定員:4人以上】
1以上の共同生活住居が必要。
複数の共同生活住居を設置する場合は、30分程度で移動できる範囲内とすること。 - 共同生活住居【定員:2人以上10人以下※】
1以上のユニットを有する1つの建物のこと。 - ユニット【定員:2人以上10人以下】
居室及び居室に近接して設けられる相互に交流を図ることができる設備により一体的に構成される生活単位。
<ユニットごとの必要設備>
定員分の居室(各居室:収納設備を除き7.43㎡以上・収納設備必須)、居間、食堂、風呂、トイレ、洗面所、台所 等 - サテライト型住居【定員:1名】
日常生活を営む上で必要な設備(風呂、トイレ、洗面所、台所 等)を設けること。
居室の面積は、収納設備を除き7.43㎡以上