ビジネス用語の「ロイヤリティ(royalty)」は、知的財産権を利用する際に権利者に支払う対価のことです。
フランチャイズの加盟店オーナーになる際も、フランチャイズ本部に対してロイヤリティは支払う必要があります。
この記事では、ロイヤリティの意味やロイヤリティ方式の種類など、フランチャイズシステムのロイヤリティについての情報を詳しく解説します。
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ロイヤリティ(royalty)とは
「ロイヤリティ(royalty)」は英語で「王室」「王権」という意味がありますが、日本ではビジネス用語として使われることが多いです。
ビジネスでのロイヤリティの意味や、ロイヤルティとの違いについて解説します。
ビジネスでの意味を簡単に言うと?
「ロイヤリティ(royalty)」には「特許権使用料」や「著作権使用料」という意味もあります。ビジネスでは特許権、商標権、著作権などの知的財産権を利用する際に権利者に対して支払う対価を指します。
「ロイヤリティ」は、企業やビジネスモデル、商品の価値を示すものでもあるのです。
ライセンス料とロイヤリティの違いは?
ライセンスには「許可」「承認」という意味があり、ライセンス料は特許や技術を使用・実施する際の許可料のことです。ロイヤリティと大きな意味の違いはありません。
ロイヤリティやライセンス料の種類には、イニシャルフィーとランニングロイヤリティがあります。
イニシャルフィーは契約の際にかかる一時金のことで、ランニングロイヤリティは売り上げや数量に応じて一定の割合で支払うお金のことです。
ロイヤリティ・ライセンス料は広い意味で使われることが多いため、どの費用を指しているのか契約の際は確認しておきましょう。
ミニマムロイヤリティとは
ミニマムロイヤリティとは、売り上げなどに関係なく支払う最低実施料のことです。ランニングロイヤリティに追加して支払うケースや、ランニングロイヤリティに充当して支払うケースなどがあります。
ランニングロイヤリティのみで独占的なライセンス契約を結んだ場合に、支払いが生じることが多いです。
ロイヤルティ(loyalty)との違い
ビジネスシーンでは、「ロイヤルティ(loyalty)」という用語を使うこともあります。
「ロイヤルティ(loyalty)」は、「ロイヤリティ(royalty)」と綴りや発音がよく似ています。さらに、どちらも「ロイヤリティ」「ロイヤルティ」とカタカナ表記をすることがあるため、混同しないように注意が必要です。ただ、ロイヤリティをロイヤルティの意味で使っている、またはその逆もしかりなのが実情です。
「ロイヤルティ(loyalty)」は英語で「忠実」や「忠誠」という意味があり、ビジネス用語では顧客側の企業やサービス、商品などに対する信頼や愛着を指します。
ちなみに、愛着、忠誠心の強い顧客をロイヤルカスタマーと呼びますが、耳にすることの多い優良顧客とは異なります。
どこが違うのかというと、優良顧客は他に魅力的なものがないから惰性で選んでいる人など、きっかけがあれば他社に乗り換えるであろう顧客も含む点です。
一方、ロイヤルカスタマーは真にそのサービスや商品が気に入っていて、他に心を移さない顧客を指します。
ロイヤルティの高いカスタマーは、良い評価の口コミをしたり、他者へ推奨したりと、新たなファン獲得につながる行動を取ってくれます。
また、顧客単価も高い傾向にあるのです。
そのため、一般顧客ロイヤルティ向上を実現し、ロイヤルティカスタマーを増やすために、特典やポイントの付与、配送料無料といった「ロイヤルティプログラム」を導入するなどの戦略を取ります。
顧客体験(商品等の認知~購入~再購入までのフェーズ)の質を改善することもロイヤルティの向上につなげるための対策です。
新規顧客を獲得するよりも既存顧客層を維持することの方がコストがかからないという事情もあり、ロイヤルティに注目する企業は増えています。
「心理面ロイヤルティ」と「行動面ロイヤルティ」の2つの要素で分けて考える顧客ロイヤルティですが、その指標は、推奨者・中立者・批判者の割合をもとにする「NPS®(顧客推奨度)」で算出します。事業の成長率と関連性が深いことから顧客満足度調査と同じく重要視されています。
顧客ロイヤルティの向上を目指すなら、まずは顧客データベースを構築し、顧客管理しっかりと行うこと、さらに自社のサービスや商品が支持を受けている理由をきちんと把握することから始めましょう。
また、会社と従業員の関係において愛社精神にあたる従業員ロイヤルティー向上にも取り組む企業が増えてきています。組織の従業員ロイヤルティーが高まれば、積極的に業務に打ち込むようになり、作業効率上昇が目指せるだけでなく、離職率も低くなることが期待できるからです。
従業員ロイヤルティーを上げるには、管理職や管理者、人事担当者の働きが重要になります。どのような施策を打てば結果が出るのか、各企業が成功事例に注目するようになるでしょう。
ロイヤリティ方式の種類
ロイヤリティの算出方法には、「売上歩合方式」「粗利分配方式」「定額方式」があります。
どのような方式なのか、それぞれの特徴をチェックしてみましょう。
売上歩合方式
売上歩合方式は、「月の売上×規定した比率(%)」でロイヤリティを算出する方式です。売上が低ければロイヤリティは少なくなり、売上が高くなればロイヤリティも多くなります。さまざまな業界で採用されることが多い方式です。
粗利分配方式
粗利分配方式は、「月の粗利(売上高-売上原価)×規定した比率(%)」でロイヤリティを算出する方式です。粗利分配方式は売上が上がるほど利益を得ることができ、ロイヤリティを受け取る側にもメリットがあります。主にコンビニ業界で採用されています。
定額方式
定額方式は、毎月決められた金額を支払う方式です。売上や粗利によって支払額は変動しません。定額方式は売上歩合方式と組み合わせて採用されるケースもあります。
製造業×デザインの契約ならロイヤリティ契約がおすすめ
製造業では製品企画、開発、設計、生産という工程を経て、製品を販売することで売上を得ます。
中小企業経営者の場合、開発の段階では十分な費用が用意できないため、高額なデザイン費がかかる場合、デザイナーと契約できないケースがあります。
しかし、開発段階のデザイン費は抑えて、代わりに売上に応じてデザインのロイヤリティが発生する契約にすれば、販売前の売上のない状態でデザイン料を無理に工面する必要がなくなります。デザイナーも売上が上がるほどロイヤリティをもらえるのなら、少しでもいいデザインを…となるので、結果的に良いものが出来る可能性が高いでしょう。
初期費用を抑えてデザイナーと契約したい場合は、ロイヤリティ契約がおすすめです。
フランチャイズのロイヤリティ
フランチャイズに加盟すると、加盟店は本部にロイヤリティを支払う必要があります。
フランチャイズに加盟するメリット
ロイヤリティの支払い義務があるとはいえフランチャイズに加盟すると、以下のようなメリットが得られます。
- 本部の教育や研修を受けられる
- 開業後もアドバイスを受けられる
- 仕入れ先を探したり、店舗設備を用意したりしなくてもよい
- チェーン店の知名度があり顧客を獲得しやすい
ロイヤリティを支払いフランチャイズに加盟することで、加盟店のオーナーはフランチャイズ本部による従業員教育や研修を受けられます。
経営方法やマーケティング戦略なども教えてもらえるので、未経験でも運営ノウハウを身につけることが可能です。開業後も定期的に本部社員が訪問し、アドバイスをしてくれます。
また、0からお店を始める場合、仕入れ先を探したり、店舗設備を考えて揃えていったりしなければなりません。しかしフランチャイズなら、商品は本部から供給を受ける場合がほとんどで、設備もノウハウに基づいた最適なものを提供してもらえます。
知名度の高いフランチャイズなら消費者に安心感があるので、新規顧客の獲得、リピート率の維持もある程度期待できるでしょう。
店舗オープンのときに配布するチラシなども本部の支援を受けられます。
フランチャイズに加盟するデメリット
フランチャイズに加盟するメリットはいくつもありますが、以下のようなデメリットがあることも否めません。
- ブランド力の影響を受ける
- ロイヤリティが負担になる可能性がある
- 自由な経営ができない
フランチャイズはブランド力を活かした集客効果が期待できますが、ブランドにマイナスイメージがついてしまった場合は悪影響を受けてしまいます。
また、経営状態が悪くなった場合は、ロイヤリティが負担になることもあるでしょう。
本部が決めた企画や施策に取り組み、ルールを守ってマニュアル通りに店舗運営をしなければいけない点は、自由に経営したい人にとっては大きなデメリットとなるでしょう。
途中解約すると違約金が発生したり、契約終了後に同業種で営業することを禁止していたりする場合も多いです。
ロイヤリティの相場
ロイヤリティ料は業界によって異なります。
事業別にフランチャイズ加盟店が支払うロイヤリティの定率・定額の相場をご紹介します。
- コンビニ:30~60%
- カフェ・飲食店:3%〜10%または月10万円以下
- エステ:5%程度
- 学習塾:10〜30%
- ハウスクリーニング:月4~8万円程度
- 美容室:5〜10%または月10万円程度
- 軽貨物:5%〜30%
あくまでも目安ですが、フランチャイズへの加盟を検討している方は参考にしてください。
ロイヤリティの勘定科目
フランチャイズで開業した際、必要となる確定申告や勘定科目について解説します。
フランチャイズは確定申告が必要
個人事業主としてフランチャイズ加盟店を運営する際は、確定申告が必要です。
確定申告の申告方法は、「白色申告」「青色申告」の2種類になります。
青色申告は複雑な帳簿の記載が必要になり、書類の保管などに厳しい条件があります。しかし、白色申告より控除額が大きいなどメリットも多いため、節税したい方におすすめです。
ロイヤリティの勘定科目
フランチャイズ加盟店が本部に支払うロイヤリティは、一般的に「支払手数料」として処理します。
他の手数料と分ける場合は、「ロイヤリティ」など独立した勘定科目を設けてもよいでしょう。
ちなみに、ロイヤリティを受け取る側で、ロイヤリティ収入が主たる事業の場合、ロイヤリティの勘定科目は「売上」になります。
加盟金の勘定科目は?
加盟金は契約の際に支払う一時金です。将来的に返還されるものでない場合は「繰延資産」として資産計上し、原則5年かけて償却計算を行っていきます。
ロイヤリティの消費税
ロイヤリティの消費税について解説します。
消費税の計算方法
フランチャイズ本部に支払うロイヤリティや加盟金は、消費税の対象です。そのため、例えばロイヤリティの出し方が売上歩合方式の場合は、売上を計算する時に消費税を抜いた状態で算出し、それに消費税を加えた額をロイヤリティとして支払います。
海外法人に支払うロイヤリティは課税される?
海外法人に支払うロイヤリティは、種類によって異なります。
特許権など権利に関係する場合、登録機関が日本であれば課税対象、国外であれば課税対象ではありません。ノウハウや生産方式の場合は、貸付などを行う事業者の住所によって内外判定されます。
技術指導料は、国内で技術指導を行った場合は課税対象になります。
フランチャイズよりも自由でサポートも受けられるグループホーム経営
フランチャイズ加盟店になると本部のサポートが受けられるというメリットはありますが、さまざまな取り決めがあって自由に経営できないケースが多いです。
ペット共生型障害者グループホーム「わおん」はフランチャイズではありません。そのため、事業主の希望に沿った自由な経営ができます。
さらに、自由度は高いけれども基本的に運営サポートがないライセンスとも違い、本部による起業や運営のサポートも受けられるのが特徴です。
「わおん」は「レベニューシェアモデル」という独自の事業モデルを採用しています。事業主はコース料金のほか、売上の3または4%を利益配分として本部に支払うことにより、必要なサポートを受けられます。(保護犬・保護猫を引き取る場合3%になります)
フランチャイズ契約でありがちな途中解約による違約金、契約更新費用も必要ありません。
グループホームは、国からの報酬を得られる福祉事業のため、安定した経営を行えます。
起業を検討中の方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。