「藤田英明ライブ福祉スクール」参加者から出たリアルな質問|グループホーム開設・運営の実践的な回答を一部公開します!

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ペット共生型障害者グループホームわおん/にゃおんにご参画いただいている参画企業様向けの「藤田英明ライブ福祉スクール」(「経営コース」「現場コース」の2コース、各回2時間、全11回)の中で、参加者から出たリアルな質問集です。

 

藤田ならこう考える、「わおん」の現場ではこうしているというノウハウが分かります。

 

どのフランチャイズ(FC)本部にするか?障害福祉ビジネスって何?障害者グループホームの開設・開業に当たって自分でやるか?加盟するか?障害福祉に新規参入したいがどうしたらいいか?と悩んでる方は是非とも読んでみてください。

 

Q1 夜勤は宿直にすると単位数がかなり少なくなりますか?

https://www.mhlw.go.jp/content/000759623.pdf

A1 入居者2人に対し、夜勤を1人配置するという最も手厚いパターンで見ると、障害区分4以上の方の場合、1日につき672単位です。宿直の場合は、1日につき112単位です。およそ3分の1なので、かなり引かれることが分かると思います。

 

Q2 事業所が賃貸の場合、不動産会社によっては、賃料とは別に消費税を明示してくるところがあります。その場合、契約書に障害者向けグループホーム運営の表記をすれば、消費税は免税になると説明をしてくれる不動産屋さんもありまちまちです。正式な考え方はどちらでしょうか?

A2 基本的には、障害者向けグループホーム運営事業所に貸す場合は、消費税は非課税です。なので、免税になるという不動産屋さんが正式です。

 

Q3 日用品費とその他日常生活費の違いを教えてください

A3 日常生活費は、ティッシュや洗剤など、皆で共有して使うものです。その他日常生活費は、個人専用のタオルやシャンプーなどが該当します。全員で使うものと個別に使うもので、分けてください。
※シャンプーやボディーソープなどを共有で使う場合は、日常生活費になります。

 

Q4 物件を賃貸ではなく、購入した場合、入居者さんに請求する賃料はどうなるのでしょうか?

A4 賃貸の場合は、入居する人数で、家賃を割って賃料を設定します。例えば、グループホームを運営する法人で物件を買った場合は、家賃設定は自由です。
個人で2,000万円の物件を購入し、自分が経営する法人に貸す場合はどうでしょうか。法人に貸した物件を、さらに入居者に貸すというパターンはよくあります。その場合は、法人に貸した金額を、入居者の人数で割って算定します。

 

Q5 重度の方向けグループホームを経営する場合、消防設備や取り揃えないといけない設備は変わってくるのでしょうか?

A5 障害区分4以上の方が全入居者の80%を超える場合は、スプリンクラーを設置しなければなりません。80%を超えない場合は、自動火災報知器の設置をして対応します。通常の戸建て物件で、スプリンクラーを設置する場合の予算の目安は、工事費込みで250万円~300万円くらいです(2021年現在)。ただ、自治体により異なってきますが、スプリンクラーを設置する際に、補助金が出る場合があります。その補助が、全費用の3分の2だったり、100%だったりと、自治体により異なってきます。なので、補助金の有無や補助の金額などは、その自治体に確認してください。

 

Q6 4LDKの物件で、50アンペアで足りますか?

A6 できれば60アンペアで契約してください。また、50アンペア以上だと、漏電遮断器を設置する必要があります。

 

Q7 人材確保の際、大きな施設だと介護福祉士を確保するために、専門学校への営業や高校への長期的な働きを行うのですが、「わおん」の場合はどうですか?

A7 弊社のグループホーム事業所全体では、採用できていないケースも多いです。ですが、サービス管理責任者だけは、確保のハードルが高いですが、世話人や夜間職員・生活支援員で、介護福祉士の有資格者は弊社の場合は採用できています。今のところ、専門学校や高校への営業はしていません。ただ、やっておくに越したことはないので、専門学校や高校に求人を出しておくとか、就職支援課の人と良好な関係を築いておくのはいいでしょう。

 

Q8 処遇改善加算は経営者が従業員に振り分けられますが、詳しく説明をお願いします。

A8 処遇改善加算は、評価基準を各社で作らなければいけません。その評価基準に基づいて、それぞれの従業員に対して、配分比率を決めることができます。あまりにも分配率に偏りがあると、評価されなかった従業員が辞めてしまう可能性もあります。ですが、1人に90%、残りの従業員は5%ずつ分配するということは、理論上は可能です。逆に分配率を全員、同率に設定することもできます。そうすると、頑張っているのに評価されないという不満が出がちです。今、介護・福祉業界で働いている人たちは、処遇改善加算に敏感な面があります。なので、過激な差は出さず、適度に差をつけることが大切です。

 

Q9 現在、サラリーマンですが、グループホーム運営を決意しました。介護の経験は全くないです。行政の担当者に相談すると、動機が弱く認可は厳しいと言われました。開業するには、グループホームでのアルバイト経験などが必要ですか?

A9 まず、行政は、介護・福祉事業経営はさせたくないという前提があります。自治体の首長が、障害福祉に力を入れたい方だと、認可がスムーズです。そうではない限り、生活保護受給と一緒で、行政のミッションはできるだけ追い返すことにあります。ですので、申請や届け出を歓迎してくれる市区町村は、基本的にはないと思っていてください。また、受理のハードルを上げることで、事業者を追い返しています。そこで、大切なのは、どうしても開業したいという熱意です。行政の立場では、そういったやり方でしか、届け出を拒否できない面があります。指定の申請書を提出され、その内容がしっかりしており、不備がない場合は受けざるを得ません。
なぜ積極的ではないかというと、障害福祉事業所が増えると、それだけ訓練給付費等の、自治体の支出が増えるからです。それに負けないように、申請を出しましょう。こういったことは、介護・福祉業界によくあることです。
ただ、気を付けなければいけないのは、政令指定都市は独自に条例を設けていたり、指定権限を持っていたりする自治体があります。なので、アルバイトよりもどうしても指定を取りたいという熱意です。

 

Q10 オープン時の近隣住民への説明は、実際、どれくらいしていますか?あまり深く説明すると、藪蛇になりそうな気がします。揉めないやり方を教えてください。

A10 僕は、菓子折りを持って、障害者のグループホームをやりますと挨拶に行きます。軽度の障害を持っている方々ですと説明しますが、それを相手がどう受け止めるかは、正直なところ分かりません。そこに住んでいる人により、変わってきます。弊社であったケースですが、元々、その物件に軽度の障害をお持ちの娘さんが住んでいた場所に、オープンしました。その際は、目の前の家の方も精神疾患がありそうで、元々、その家同士がもめていたという物件を借りてしまった方がいました。そういった場合はなかなか理解が得られません。
ですので、できれば物件を借りる前に「障害者グループホームをやります」と言い切ってしまうことが大切です。
新築物件の場合は、大きい施設だと、住民説明会をやらなければいけません。その場合もエリアにより、福祉施設が建つことに慣れている場合もそうでない場合もあります。ですが、基本的にはあまり高級住宅街で開所しないなど、気を付ければ、先ほどのような特殊事例を除いては、そこまで揉めません。弊社の場合、揉めたケースは全体の1%ほどです。

 

Q11 各入居者様で個別にペットを飼う際には、共有部分でのルールをあらかじめ決めていますか?

A11 グループホームに入居する方がペットを飼っていることは、所得の問題で、少ないです。ただ動物が好きで、触れ合えるから、弊社のグループホーム「わおん」に入居したいという方が多いです。実際に弊社の直営のグループホームに入居していて、ペットを飼っている方は4人ほどしかいません(2021年現在)。残りの人は、グループホームで飼っている保護犬・保護猫の世話をし、かわいがっている方たちです。ですので、今のところ、ルールは決めていません。
できれば、犬の場合ならお散歩、猫だったらトイレ掃除や餌やりなどのルールは決めるほうが望ましいです。アセスメントを取り個別支援計画書を作る際に、計画書の中に、当番を決めると支援の面でもいいでしょう。火曜日は〇〇さんは犬の散歩の日、△△さんは猫のトイレの掃除の日など、個別支援計画で決めると、責任感もわいてきます。ルーティンができることは、就労にもつながります。ルールは明確にはありませんが、支援の上でそういった創意工夫をしましょう。

 

Q12 処遇改善加算の評価の基準を具体例で教えてください

A12 評価項目は各社それぞれです。ですが、管理者・サービス管理責任者・世話人・生活支援員では、業務が違うので、評価項目も変わります。分かりやすい例では、サービス管理責任者が、アセスメントがしっかり取れているか、全員分あるか、個別支援計画がきちんと作られているかなどが上げられます。また、その個別支援計画書に基づいた、社内の共有会議が開催されているかなども基準にしやすい項目です。
世話人の評価は難しいですが、入居者さんがご飯をおいしいと感じているかなどが上げられます。介護・福祉業界の仕事は、利用者さんの自立の度合いなど、目に見えにくいものが多いです。
また、「介護プロフェッショナルキャリア段位制度」というものがあります。

それを介護・福祉業界の評価基準にしようという動きが、十数年前にありました。それが現場で運用されない現実があります。なので、活用されていませんが、評価軸を作る上では参考になります。こちらを参考にしてみるといいでしょう。

 

「藤田英明ライブ福祉スクール(https://anispi-seminar.peatix.com/)」より抜粋
文 田口ゆう