今、どこの自治体でも、就学相談が始まっているのではないでしょうか。就学相談の結果、子どもにとってどの学級が合っているのか、悩む親御さんも多いと思います。これは昨年、就学相談を受け、ギリギリまで悩んで支援学級を選んだ我が家のケースです。
うちの息子は、DQはグレーゾーンを少し超えているけれども、集団行動が苦手で普通学級に適応できるかできないかというギリギリのラインでした。就学相談を経て、判定は支援学級相当。この判定もかなり割れました。就学判定委員は専門家6名ほどの面談や行動観察で、決定するのですが意見は半々だったと聞きました。
グレーゾーンの難しさは、知的には何も問題がなくとも、適応できる場面と発達障害の傾向により適応できない場面があり、それがメンタルの状態(ストレスが高いとか、緊張しているとか)にかなり影響されることだと思っています。
息子の場合も保育園は一般の子と一緒に生活していて、周りの子に合わせることも、一緒に過ごすこともできる。だけど、行事など、日常と違うことがあると途端に不安定になり、多動気味になる。周りの子よりも一声多く必要。
その「一声多く必要」なところが、就学委員では「支援学級の方が安心では」という判定につながった。
教育委員会からは「普通学級を選ぶこともできますよ」と言われ、就学相談から半年は迷い続け、最終的に2月になって、支援学級を選ぶことにしました。
専門の方から「お母さんは偉い!みんな普通学級に行かせたがるのに、よく決断しましたね!」と言われただけど偉いのでしょうか?
私にあまり偏見がなかったから 息子の特性に向き合ってきた結果、出した結論に過ぎないと自分では思っています。
私の中にも当然、普通学級に行って欲しいという気持ちはあって、迷いに迷いました。けど、最終的には、どちらも見学した息子の「こっち(支援学級)で頑張りたい!」の一言であっさり決まりました。
やっぱり小さくても本人の意思は尊重してあげたい。
そう、強く思いました。
そう思ったのは、ライターとして発達障害の取材をした経験が大きいと思います。
多くの福祉関係者や当事者の方々へのインタビューをする中で、ひきこもり支援士よしさんのニコ生に出演させて頂いて、ひきこもりの当事者とやり取りさせていただいたりしたことで発達障害の二次障害の怖さが分かったんです。
よしさん曰く「ひきこもりの方の中にはかなりの割合で発達障害の方がいる」とのこと。
発達障害の二次障害に関しては、こちらをご参照ください。
http://www.mdd-forum.net/niji.html
その生きづらさから、精神疾患等を発症してしまうのですね。
大人の発達障害の方は、社会人になるとともに様々な問題を抱えて、社会に適応できなくなり発覚するケースが多いと言います。元夫も発達障害でしたが
「納期をメモしてもメモをどこに置いたか忘れてしまう」
「結果、納期が守れない」
「不注意から車での事故を年に何回も起こす」
「ケアレスミスを繰り返す」
という問題が出てきて、会社ですっかり浮いた存在となりました。
そこから元夫はうつを患いふさぎがちになっていき、最終的にストレスからDVにつながり離婚に至りました。
それ以前から、元夫は学校でも「変わった子」と思われていて、イジメに遭うことが多く、自信がない、自己肯定感の低い人でした。
離婚後、やはり息子にも同じ傾向があったことで(私自身にも傾向はあった)、息子の育児を通して発達障害というものを理解していきました。
今なら、元夫の状態が「我慢が足りない」「忍耐が足りない」「やる気がない」といった根性論の話ではないと分かります。
だけど、最近、発達障害は話題となっていますが、世間的に二次障害の話は認知されていると思えません。「やりたい」けど「できない」のに、責められ続けたら辛いですよね?
ひきこもりの方は、そういった周囲の無理解の積み重ねで、ひきこもったに過ぎないのであって環境要因がかなり大きいのです。
そういったことを知るにつれ、「頑張ればついていける普通学級」と「のびのび少人数、マイペースでやっていける支援学級」の選択肢がある中で、私の中で息子に二次障害をおわせたくないという気持ちが大きくなっていきました。
なので、息子自身が「ここで(支援学級)で頑張りたい!」と言ってくれた時、内心ホッとしたのも事実です。勉強の遅れが気になるようでしたら、勉強は塾や家庭教師、親御さんが教えることで補えます。(息子の進学する支援学級の場合、話した結果、その心配はなさそうですが)
どうか学校選びで悩んでいる親御さんには二次障害の怖さを知ってもらいたいです。
人生は長いんです。
うちは半年ごとに支援者会議を開いて、支援学級が合わなければ、普通学級への転籍に関しては見直すつもりでいます。
普通学級に行きたいのは親御さんですか?
それとも本人の希望ですか?
誰のための選択ですか?
もちろん子どもが自分のことを理解できているわけではなく、親が最終的に専門家の意見を決めなければなりませんが後悔のない選択をしたいですね。今、その息子は支援学級の2年生で、不登校になるでもなく元気に学校に通っています。
今、支援学級での息子の様子を聞いていると、普通学級に進学していたらつまづいて不登校になっていてもおかしくないと思っています。なので、自分の選択が正しかった、私のエゴで普通学級に通わせなくて良かったと思っています。
田口ゆう