障害福祉サービスを提供している施設のひとつに障害者支援施設があります。名前は聞いたことがあっても、実際にどのような業務を行っているかはよくわからないという人もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、障害者支援施設の利用対象者や提供サービス内容、職種別仕事内容、求人情報について詳しくご紹介します。
障害者支援施設とは
障害者支援施設とは、施設入所支援および施設障害福祉サービスを行う施設を指します。
基本的には、夜間に食事や入浴、排せつなどの介護を行う施設入所支援サービスです。
そして、日中には主に以下のような障害福祉サービスを利用者の状況に合わせて提供するのが特徴です。
- 生活介護
- 自立訓練
- 就労移行支援
- 就労継続支援
複数のサービスを提供する障害者支援施設は多機能型事業所でもあります。
ちなみに障害福祉サービスには、居宅介護・重度訪問介護・生活介護・短期入所(ショートステイ)・自立訓練(機能訓練・生活訓練)・自立生活援助・共同生活援助(グループホーム)などさまざまなものがあります。
根拠法
障害者支援施設は「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」、いわゆる「障害者総合支援法」第5条を根拠法として設置・運営されています。
障害者支援施設という種別は、2006年施行の「障害者自立支援法」によって、身体・知的・精神・発達など各種障害に対応するサービスが統合された際に生まれました。
利用対象者
障害者支援施設の利用対象者は、知的障害や身体障害などにより、介護・援助を要し、自宅での生活も難しい障害者です。
障害支援区分で区分4以上、50歳以上なら区分3以上が対象です。
夜間の生活介護を必要とし、通所による訓練が困難な方に、入所による支援を提供します。
入所理由は?
入所理由は厚生労働省のデータによれば、平成30年度の新規入所者の68.1%が「家庭での支援が困難であるため」と回答しています。約7割が自宅での生活、家庭内での支援が難しく、入所していることがわかります。
参照:障害者支援施設のあり方に関する実態調査(概要版)5P
https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/000569483.pdf
利用者の状況
厚生労働省の令和元年度のデータによれば、利用者の平均年齢は52.9歳で、60代の25.9%が最多となっています。ついで40代が23.6%、50代が21.7%です。
男女の割合は男性60.1%に対して女性39.6%で、男性の方が多くなっています。
障害の状況については以下の通りです。
- 「療育手帳を持っている」70.0%
- 「身体障害者手帳を持っている」42.8%
- 「その他の障害者医療費助成を受給している」13.7%
- 「自立支援医療(精神通院医療)を受給している」9.3%
身体障害者手帳所持者の身体障害の内容については多い順に、
- 「肢体不自由(下肢)」56.7%
- 「肢体不自由(上肢)」44.0%
- 「肢体不自由(体幹・運動機能)」32.8%
となっています。
また、日常生活での介助の必要度は
- 「薬の管理」91.7%
- 「お金の管理」89.7%
- 「買い物」84.0%
です。
利用者の令和元年7月の収入額については全体平均が84,507円です。
内訳は以下になります。
- 「障害基礎年金」82.9%
- 「その他の手当、年金、給付金等」7.8%
- 「補足給付」4.0%
- 「家族などからの仕送り」2.0%
障害者支援施設をどのような人が利用しているか、さらに詳しく知りたい方は以下を参考にしてください。
参考サイト:厚生労働省 令和元年度障害者総合福祉推進事業 障害福祉サービスの利用実態調査報告書https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/000654231.pdf
提供する生活介護サービス
障害者支援施設で提供する生活介護サービスの主な内容は以下です。
- 入浴・排せつ・食事などの介護
- 日中活動として創作的活動または生産活動の機会の提供
- そのほか必要な援助
障害者グループホームとの違い
障害のある方が暮らす場所を提供するサービスといえば障害者グループホームもありますが、障害者支援施設との違いはいくつかあります。
まず経営母体ですが、障害者支援施設は国・地方公共団体・社会福祉法人限定です。一方、グループホームは社会福祉法人・NPO法人・株式会社など、さまざまな法人によって運営されています。
また、利用対象者も異なります。
障害者支援施設は先述した通り、障害支援区分が区分4以上(50歳以上は区分3以上)が基本です。しかし、障害者グループホームは特に対象区分は決められていません。ただ、身体障害の場合、65歳未満もしくは65歳に達する前日までに障害福祉サービスやこれに準ずるものの利用実績がある人を対象としています。
提供サービスについては似ている部分も多いですが、障害者グループホームの大きな特徴は地域生活での自立の実現を目的としている点です。地域にある住宅を利用したグループホームでの集団生活を通して、将来的に地域社会に根差した一人暮らしをすることを目指している人が多く見られます。
また、基本的に夜間の支援のみで、日中は各々で職場などに通っている場合がほとんどです。
【職種別】障害者支援施設で働く職員の仕事内容や役割・給料・必要資格
障害者支援施設では入所者の介護や援助のため、さまざまな職員が就業しています。
ここでは介護職員以外で、障害者支援施設で働く職員の仕事内容や役割・給料・必要資格について説明します。
なお、ご紹介する給与は障害者支援施設以外で働く人も含む数字です。
参考サイト:厚生労働省「令和2年度障害福祉サービス等従事者処遇状況等調査(臨時調査)結果の概要」https://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/toukei/shogu_tyousa/dl/r02_gaiyou.pdf
生活支援員
生活支援員は、障害者支援施設だけではなく、地域の住宅で障害のある方が共同生活を送る障害者グループホームや、障害者の就労を支援する就労支援事業所なども勤務先になります。
障害者支援施設では、利用者の健康管理や生活介護、洗濯・掃除などの生活支援を行います。あわせて利用者の相談対応も担う職種です。
そのため福祉に関する総合的な知識が求められる場面も多く、各利用者の状況に合わせた臨機応変な対応が期待されます。
生活支援員には特別な資格は必要ありませんが、就業にあたっては社会福祉士・精神保健福祉士・社会福祉主事任用資格といった資格の保有者がのぞましいとされています。
未経験でも就業可能としている施設もありますが、その場合も相応の実務経験や介護知識・技術などが身についていることを前提とすることは少なくありません。
厚生労働省による調査では、生活支援員をはじめ、児童指導員・障害福祉サービス経験者・職業指導員・地域移行支援員・就労支援員・訪問支援員など「福祉・介護職員」の平均基本給額・平均給与額は以下になります。
平均基本給額 | 平均給与額 | |
平成31年2月 | 191,360円 | 295,980円 |
令和2年2月 | 196,050円 | 310,970円 |
※福祉・介護職員処遇改善加算(Ⅰ)~(Ⅴ)を取得している事業所(常勤の場合)
生活支援員とはどんな仕事?仕事内容や活躍できる職場、向いている人を解説
https://04.theme-demo.tokyo/wp/jobseeker/health-care-assistant/
職業指導員
職業指導員は、障害者が就職するために必要な知識や技能、社会的なマナーなどの習得支援を行います。パソコンや木工、園芸など利用者の適性に合った技術を指導し、習得できるよう一緒に作業をしていきます。
職業指導員になるために必要な資格は特に定められていませんが、指導する知識や技能については、当然のことながら指導できる程度の経験や技量が求められます。
また「社会福祉主事任用資格」の保有者を応募条件としている施設もあります。
介護の現場で必要となる基本的な知識や技術を学べる「介護職員初任者研修」も受講しておけば、現場で働く際に役立つでしょう。
就労支援員
就労支援員は、利用者が自らの状況や適性、能力に合った仕事に就くための指導や支援を行います。
職名が職業指導員と似ていますが、職業指導員が仕事に必要な知識や技術を指導するのに対し、就労支援員はハローワークなどの関係機関と連携して利用者に合った職場を探すという違いがあります。また面接時に同行したり、就職後も相談に乗るなど、継続して働けるよう定着支援を行ったりもします。
就労支援員に必要な資格は特にありませんが、職業指導員同様、知識や技術指導を求められることもあり、その場合は指導に必要な幅広い知識や技量が求められます。
施設によっては介護福祉士・精神保健福祉士・社会福祉主事任用資格などを持っていることを応募条件としている場合もあります。
医師
生活介護の場では利用者の障害に応じて、健康管理や療養上の指導を行う医師の配置が定められています。配置医は嘱託医でも可です。
さらに、必ずしも日常生活上の健康管理および療養上の指導を必要としない施設については、看護師などが利用者の健康状態の把握や健康相談といったことを実施するなら、医師を配置しなくても良いとしています。
なお、医師全般の賃金について、厚生労働省の平成27年のデータによると平均年収は勤務医1,456万円、開業医2,887万円となっています。
参考サイト:民間医局コネクト
https://connect.doctor-agent.com/feature/annual_income/
看護師
障害者支援施設では看護師もスタッフの一員として働いており、検温・服薬管理・感染予防・胃ろう管理・吸痰・導尿・入浴介助・通院の付き添いといった、幅広い業務に携わっています。
医師が常勤していない施設では医療のエキスパートとして頼られることも多いです。また、職員や利用者家族とのコミュニケーションも求められます。
厚生労働省のデータによれば看護職員(看護師と准看護師)の平均基本給額および平均給与額は以下の通りです。
平均基本給額 | 平均給与額 | |
平成31年2月 | 251,780円 | 400,500円 |
令和2年2月 | 255,130円 | 411,360円 |
※福祉・介護職員処遇改善加算(Ⅰ)~(Ⅴ)を取得している事業所(常勤の場合)
理学療法士
理学療法士は、運動機能が低下した利用者にリハビリテーションとして運動療法や物理療法を行う役職で、PT(Physical Therapist)と呼ばれることもあります。
身体機能や日常的な動作能力の回復・維持、障害の悪化予防を目的とした治療を施し、自立した日常生活を支援するとともに、メンタル面のサポートも行います。
理学療法士になるには国家資格が必要です。国家試験受験資格を得るためには、養成校で3年以上理学療法に関する知識と技能を習得するなどの条件をクリアする必要があります。
理学療法士・作業療法士の平均基本給額・平均給与額は以下の通りです。
平均基本給額 | 平均給与額 | |
平成31年2月 | 246,660円 | 385,260円 |
令和2年2月 | 250,900円 | 398,150円 |
※福祉・介護職員処遇改善加算(Ⅰ)~(Ⅴ)を取得している事業所(常勤の場合)
作業療法士
作業療法士はOT(Occupational Therapist)とも呼ばれ、応用的動作能力や社会的適応能力の回復を目的に、絵画・手芸・工作・陶芸・園芸などを通して治療や援助を行う職種です。治療は医師の指示によって行われます。心理面からも働きかけて生活能力を向上させ、社会生活を営むことができるよう心身両面からサポートしていきます。
作業療法士になるには国家資格が必要です。その受験資格を得るには、養成校で3年以上作業療法に関する知識と技能を習得するなどの条件をクリアする必要があります。
障害者支援施設勤務で得られるやりがい
障害者支援施設の利用者は障害の程度もさまざまで、介助内容が難しいと感じることもあります。しかしそれだけに達成感は大きく、利用者からの感謝の言葉は障害者支援施設勤務で得られるやりがいの大きさを実感させてくれます。
障害という大きなハードルと辛抱強く向き合い、乗り越えていこうと努力する利用者をサポートし、人生が前向きに変わっていく瞬間に立ち会えるのが醍醐味のひとつといえるでしょう。
障害者支援施設の求人例
障害者支援施設ではさまざまな職種の人が働いており、その働き方も一様ではありません。無資格の未経験者でも働ける場合もあれば、派遣でのお仕事もあります。
多岐にわたる障害者支援施設の求人例をご紹介します。
【宮城・正社員】サービス管理責任者
障害者の一般企業への就職を支援しているエーシーイー株式会社 大河原事業所では、障害者支援施設のサービス管理責任者を募集しています。
- 年収216万~288万円(別途賞与あり)
月給180,000~240,000円
※基本給160,000円~220,000円
- 勤務時間8:30~17:30
- 土日祝日休み
- 応募条件:サービス管理責任者研修・相談支援従事者初任者研修の修了者かつ福祉や医療関係での職務経験5年以上の方
【東京・正社員】正看護師
障害者支援施設 みずきでは、日勤のみの正看護師を募集しています。
主な業務は施設利用者の服薬管理・健康チェック・痰の吸引など日常生活における医療ケアです。
- 月収250,000円~(固定給)
- 勤務時間8:30〜17:30
- 休日:日曜と平日1日
- 諸手当:通勤手当(上限40,000円)、資格手当15,000円、住宅手当5,000円~15,000円など
- 賞与:年2回(実績4ヶ月)
社会福祉法人 足立邦栄会 障害者支援施設 みずき
https://iryouworker.com/tokyo/city-13206/92899/?utm_source=kyujinbox&utm_medium=cpc&utm_term=92899&utm_campaign=048
【千葉・正職員】看護師
佐原聖家族園では看護師を募集しています。
- 月給184,400円以上
- 試用期間3ヶ月(条件変更なし)
- 勤務時間は8:30〜17:00(日勤)
- 要普通自動車運転免許
- 賞与年2回(3.7カ月※前年度実績)
【群馬・正職員】生活支援員
「障害者支援施設みらい」では生活支援員を募集しています。
利用者の食事、入浴、排せつなどの介助を行います。
- 月給 190,100円 〜
- 勤務時間は4パターン
- 試用期間3ヶ月(労働条件の変更なし)
- 無資格・未経験応募可
障害者支援施設みらい
https://job-medley.com/ls/351554/
【大阪・正社員】生活支援スタッフ
社会福祉法人 北摂信愛園では生活支援スタッフを募集しています。
知的障害・発達障害のある方の支援を行っており、排泄・入浴・食事、買い物などのお手伝いをします。
- 月給223,825円以上
- 勤務時間は5パターン(夜勤含む)
- 月9日休み
- 応募資格:40歳まで(介護職員初任者研修・介護福祉士・社会福祉士・社会福祉主事・保育士資格を活かせます)
- 無資格・未経験OK
【徳島・正社員/契約社員】理学療法士
社会福祉法人徳島県手をつなぐ育成会 障害者支援施設 ルキーナ・うだつでは理学療法士を募集しています。
- 正社員:月給181,700円以上(基本給171,700円以上、資格手当10,000円)別途賞与・通勤手当あり。昇給年1回
- 契約社員(非常勤):時給1,030円
- 4週8休以上のシフト制(年末年始休暇12/30~1/3)
社会福祉法人徳島県手をつなぐ育成会 障害者支援施設 ルキーナ・うだつhttps://jp.indeed.com/%E9%9A%9C%E5%AE%B3%E8%80%85%E6%94%AF%E6%8F%B4%E6%96%BD%E8%A8%AD%E9%96%A2%E9%80%A3%E3%81%AE%E6%B1%82%E4%BA%BA%E5%BE%B3%E5%B3%B6%E7%9C%8C?vjk=c906f9415763a9e3&advn=7947111274842981
【福岡・派遣】無資格OK介護職
看護師・薬剤師・介護士を中心とした人材派遣・転職支援サービスを提供している日研メディカルケアには、無資格・未経験でも就労可能な介護職の求人があります。
派遣先は福岡市西区にある障害者支援施設で、利用者の食事・入浴・排泄・生活介助、レクリエーションなどを担当します。
- 時給1,000円~
- 週3日~就労可能
- 勤務時間は夜間帯も含む5パターンあり
日研メディカルケア 博多オフィス
https://nikken-mc.com/care_information/1018844.html?utm_source=Indeed&utm_medium=cpc&utm_campaign=Indeed
アットホームな生活支援をするならグループホーム「わおん」
障害者支援施設は利用者が多く、状況によっては一人ひとりに対してゆっくりと向き合うことが難しい場合もあるでしょう。
アットホームな雰囲気の中で仕事がしたいという方には、障がい者グループホーム「わおん」をおすすめします。
軽度障害のある方が対象
障害者グループホーム「わおん」の利用者は、基本的に軽度障害の方がほとんどです。
自立を目指す方が共同生活を送る場で、スタッフはその支援にあたります。
無資格・未経験でもOKの職種もあるので、障害福祉の仕事をするのが初めての方でも挑戦しやすいでしょう。
少人数で家庭的な雰囲気
障害者グループホーム「わおん」の入居者は少人数なので、家庭的な雰囲気です。
利用者との関係づくりもしやすく、気配りもしやすいので、働きやすい環境でしょう。
ペットのいるグループホーム
「わおん」の最大の特徴はペットと暮らせる点です。
一緒に暮らすのは、保護犬・保護猫で、グループホームで引き取ることによって命を救うことができます。
ペットがいることで、利用者とコミュニケーションを取りやすくなるというメリットもあります。
グループホームによっては、ご自身のペットと一緒に出勤することができるので、ペットの留守番が心配という方も安心です。
動物は好きだけれど、自宅では飼えないという方は「わおん」を選択肢に入れてはいかがでしょうか。
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