障害者雇用と障害者差別解消法|認知度は低いが可能性を感じる法の施行|法定雇用率を守るには

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障害者雇用と法定雇用率

 

法定雇用率は一般企業が、障害者の人を従業員として雇用しなければいけないと法律で定められた率のことをいいます。

 

グラフでは、法定雇用率の対象となった障害の順に、身体・知的・精神障害と並んでいます。身体障害者が1976年、知的障害者は1998年、精神障害者は2018年4月から法定雇用率の対象となりました。

 

昔は、精神障害の人を雇っても、法定雇用を満たしたとカウントできませんでした。今はカウントできるようになりました。

 

法定雇用率も、年々上がっていて、従業員のうち1.5%だったのが、今は2.3%になっています。本人次第ですが、障害者雇用枠で一般企業に就職しようと思えば、できます。

 

弊社のグループホームでもそういったケースがありました。精神障害で、障害区分6の方でした。最初は、区分6で精神障害の方が就労したいと聞いて、僕も会いに行きました。きちんとしている方で「僕は、将来、アメ車を買いたいんです」とおっしゃっていました。

 

これを買いたいから働きたいんですよと、600万円くらいの車をスマホで見せてきました。就労意欲もある方でした。

 

病院に入院している間に、誰かが、区分6だと言ったんでしょうね。実態は、区分1か非該当という状態でした。

 

その方のように、障害者グループホームに入居している方も、働く気があれば一般企業で働けます。

 

障害者グループホームを運営、経営している方や、サービス管理責任者の方などは、その入居者の将来設計や就労意欲にもよりますが、働きたい方には、フォローをしていきましょう。

 

特に、障害者グループホーム事業に新規参入・新規開業した法人は上記のようなフォローを行うとレピュテーションの向上につながります。

 

 

障害者差別解消法

 

(図:内閣府 内閣府 第1章 障害者差別解消法の施行に向けた取組|平成28年版障害者白書(概要)

https://www8.cao.go.jp/shougai/whitepaper/h28hakusho/gaiyou/h01.html

 

障害者差別解消法という法律があります。正式名称は「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」で、平成28年4月から施行されました。障害者施設をやろうとすると、住民が嫌がることがあります。ですが、実は、障害者差別解消法があるので、住民は反対することはできません。

 

一番、住民の反対運動が激しかった事例が、横浜市の高級住宅街でグループホームを開設しようとした時のものです。

 

グループホームに反対と言うのぼりが立ちましたが、今ではそれに関係なく運営しています。気合いが入っているなと思いましたが、基本的には、反対することはできません。

 

老人ホームや児童相談所、保育園や病院の開設には、住民が反対したら、自治体の権限で、指定を出さないということができます。ですが、障害福祉サービスに関しては、住民が反対したことを理由に、市町村や都道府県が指定を出さないことは法的にできません。

 

ただ、運営しにくいということはありますので、仲良くやることがベストです。万が一、反対された場合には、障害者差別解消法をきちんと説明する必要があります。

 

図の一番上に第1項・第2項・第3項と書いてありますが、住民の反対は、障害者基本法第4条(差別の禁止)第1項の「障害を理由とする差別等の権利侵害行為の禁止」に該当します。また、第2項の「社会的障壁の除去を怠ることによる権利侵害」や合理的配慮にも該当します。

 

ですので、反対があったとしても、法的には問題ありません。

 

僕も、老人ホームをたくさん運営してきましたが、反対はちょいちょいありました。ほとんどは反対運動と戦って、勝ちましたが、障害福祉施設の場合はこの法律があるので、戦おうと思えばいくらでも戦えます。

 

ただし、戦い方に気をつける必要があるので、障害者グループホームや生活介護(障害者デイサービス)、就労継続支援A型・B型、放課後等デイサービスなどを新たに開設したり、新規参入・新規開業したり、独立起業するような場合は弊社アニスピホールディングスのような実績のある専門家に相談してください。

 

 

障害者差別解消法事例

(障がい者差別解消法の施行について| 福祉課| 市役所の仕事としくみ| 行政情報| 古賀市オフィシャルページ

https://www.city.koga.fukuoka.jp/cityhall/work/fukushi/017.php

 

差別に当たる行為や合理的配慮の事例が上の図にあります。

 

法律を作らないと、差別が解消しないっていうのは、それで問題だとは思います。ですが、この法律ができたお陰で、差別・配慮とは何かが、明確になったという点では非常によかったと思います。

 

それでも、「障害者差別解消法を知っていますか」と言うと、知らない人が大半です。「合理的配慮って知っていますか」と聞いたら、さらに知らない人が多いでしょう。

 

僕たち福祉事業者が積極的に広めていけるといいと思っています。

 

 

障害者差別解消法の認知度とその可能性

(障害者差別解消法施行から1年 認知度調査を実施 | 公益財団法人北海道盲導犬協会公式ホームページ

http://www.h-guidedog.org/news/post-107/

 

ただ、素晴らしい可能性があると思ったのが、図の右下のグラフです。自ら障害のある人の手伝いをしたことがある人が40%もいます。手伝ったことがない人が30%ぐらいです。この数字に、僕は可能性を感じました。

 

セミナー参加者からの質問

Q:障害者差別解消法には、罰則規定はあるのですか?

A(藤田):まだないんです。

 

Q:では、実際には、住民の反対と戦うには、弁護士さんを入れることになりますか?そういった実例はありますか?

A(藤田):現在、弊社の関連事業所が、全国に270拠点ほどありますが、3/270くらいです。現時点では、参画企業様が住民説明会を開く際には、弊社が同席しているので、お気軽にご相談ください。

 

今後、障害者グループホームや障害者デイサービス(生活介護)、就労継続支援、放課後等デイサービスなどの新規参入者が増え、障害福祉事業所が増えれば増えるほど一般市民の認知が高まり、差別意識は解消されていくと考えられるので、できるだけ多くの方々に福祉業界に参入していただければと思います。

 

 

藤田英明オンラインサロン

 

文 田口ゆう