障害福祉に新規事業参入する方必読!日本の社会的課題7選|現状を知ることで未来の経営戦略が見えてくる!フランチャイズ本部やコンサルタントも知らないコト

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僕たち障害福祉事業者を取り巻く日本の社会的課題7選|現状を知ることで未来の経営戦略が見えてくる!

 

今回は、現在、僕たち福祉事業者を取り巻く、社会的な課題の認識を皆さんと共有したいと思います。

 

課題は大きく分けて、1~7までありますが、その他にも問題はたくさんあります。

 

1つ目は障害者の住まいが、現状も不足しているということです。今後、ますます不足してくる可能性が高いでしょう。

 

2番目は、犬猫の殺処分が世界で一番多いことです。また、その頭数は、明らかに増えています。

 

3番目の「8050問題」とは、主に高齢になったひきこもる子どもを、高齢になった親が支えきれなくなる状態を表した言葉です。親が80代・子が50代で、双方が高齢になった時、生活に困難を抱えることとなります。今では、「7040問題」も議論されています。親が80代で子が50代になると、親は要介護状態になったり、病気になったりします。人によっては亡くなってしまう方もいます。そうなると、残された子供をどうするかという問題が発生します。それが、5番目に挙げた「親亡き後」問題につながります。そうなった場合に、一人暮らしはなかなか難しいので、病院・施設や家でもない、第三の居場所が必要となります。現状では、設備の選択肢が少ないことが問題です。

 

4番目は、空き家の激増です。1983年には330万戸だったものが、2013年には820万戸まで増えています。820万戸の中で、一戸建て(木造)は220万戸で、そのうちすぐに活用できる一戸建ては48万戸もあります。

 

空き家はご存知の通り放っておくと

・倒壊

・崩壊

・火災

・犯罪の誘発

・不法定住

・ゴミの不法投棄

・衛生状態の悪化

・景観の悪化

などなど、様々な問題を引き起こす原因になっています。

 

6番目の問題は、PB(プライマリーバランス)重視の政策による、早期退院の促進です。プライマリーバランス(Primary Balance)とは、国や地方自治体などの基礎的な財政収支のことをいいます。国の財政の収入と支出を、一致させようという考え方です。僕は、それはそもそも無理だと思う派です。だけど、財務省や国には、できるだけ支出を減らし、収入を増やして、その支出と収入をイコールにさせようという勢力が非常に強いのです。その背景には、年々、国民が高齢化していくことがあります。その影響で、国の支出は、毎年2,000億増えていっています。

 

10年経ったら2兆円です。現実には、もっと増えていくと言われています。高齢化により、何に一番コストがかかっているかというと、医療費です。その医療費を減らそうということで、病院からの早期退院政策がとられています。

 

「地域に移行する」という言葉はいいのですが、ようは医療から福祉に、そのコストを押し付けてしまおうというような、政策が進んでいます。

 

7番目は、国と自治体のねじれの問題です。国は6番目に書いたように、医療から福祉にどんどん移行していくという政策をとっています。「医療中心から、地域生活中心へ」「地域包括ケアシステム」など、聞こえがいい言葉で政策を推進しています。

 

ですが、医療制度は国の負担率が非常に高いのです。逆に福祉制度は自治体の負担率が高いのです。なので、国は福祉に移行したい。福祉はどうかというと、国の負担率が減る代わりに、自治体の負担率が上がります。自治体はやりたくないのです。それなので、僕たち福祉事業者が第三の居場所である、福祉施設を作ろうとして自治体に認可を申請すると、自治体は消極的です。「国の政策はこうなっていますよね」と自治体の窓口で言っても、自治体は本音では嫌なのです。嫌だとはダイレクトに言いませんが、「もう施設はいっぱいあります」とか、小さな書類の不備などを指摘して、指定の認可をなかなか出しません。僕が、過去に経験したケースですが、指定の申請書類を出したら、句読点の位置が違うとか、そういった指摘をされました。他にも、紙の端っこから、最初の文字までの距離は、20ミリなのに21ミリあるので、出し直ししなさいなどと言われました。若かったので、とても腹が立ちました。

そういった国と自治体のねじれがあります。

 

 

※「統計で見る障害福祉事業マーケットの拡大|増え続ける障害者の数!国はなぜ精神病院からの早期退院にかじを切ったのか?(https://anispi.co.jp/president_blog/post-4249/)」

 

人権上の問題から精神病院の入院日数が減っているヨーロッパと財政面から入院日数が減っている日本

 

これは、ご存知の方も多いと思います。日本の精神病院は、世界的に見ると、非常にベッド数が多いです。ベッド数が多いというのも問題ですが、入院日数が非常に長いことも大きな問題です。ベルギー・フランス・ドイツ・イタリアなどは、図を見ると、1~2桁です。それに比べ、日本は285日です。世界で2番目に長いのは韓国ですが、韓国ですら124日です。

 

 

(図:最近の精神保健医療福祉施策の動向について – 厚生労働省 5頁 https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/000462293.pdf

 

ただ、上のグラフを見ると、平成元年の時点では500日ぐらいありました。それがだんだん減り、今では270日を切るくらいです。それなので、入院期間はだいぶ、短縮はされてきているものの、欧米と比べると非常に長いです。

 

これは、よく考えたらおかしなことですね。例えば、インフルエンザにかかって、フランスだったら5日で治るけど、日本だったら270日かかるということになります。

ヨーロッパなどは、精神病院に長期入院させるのは、人権上、好ましくないということで、短くなっていきました。日本は、どちらかというと、財政的な問題から、入院期間がだんだん短くなっています。そして、医療から福祉へという流れに進んでいます。

 

僕たち福祉事業者を取り巻く「今」を、客観的に把握することで、「未来」にどういった経営戦略をとればいいのかが見えてくると思います。経営者は常に先を見通し、事業を継続していかなければなりません。今後もこういった課題の認識を共にしていきたいと思っています。

 

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文 田口ゆう