共同生活援助とは、障害のある方が日常生活や社会生活上の支援を受けながら共同生活を送るものです。障害者総合支援法が定める障害者福祉サービスのひとつで、障害があっても自立した暮らしを目指せるサービス内容となっています。
この記事では、共同生活援助の特徴や形式の違い、利用するまでの流れについて詳しく解説します。
共同生活援助とは
共同生活援助は障害者グループホームとも呼ばれ、身体・精神に障害のある方が援助を受けながら共同生活を送れる障害福祉サービスのことです。
共同生活援助について、具体的な特徴をご紹介します。
援助を受けながら地域で共同生活を送ることができる
共同生活援助は障害者グループホームのことで、障害福祉サービス(訓練等給付)のひとつです。施設には家事援助や日常生活での相談を受ける世話人、食事や入浴、トイレなどの介護支援を行う生活支援員などの職員がいて、日常生活上の援助や介護支援を受けながら共同生活を送れます。
住宅形態は一軒家やアパート、マンションなどで、1住居あたりの定員は2名〜10名、既存の建物を利用する場合は20名以下または30名以下です。
共同生活援助は、入所施設(障害者支援施設) をただ小規模にしたものではありません。地域にある一般的な住宅で、利用者一人ひとりが各々にあった支援を受けながら自立した暮らしを目指せる生活の場なのです。
サービスの対象となる人
共同生活援助は、身体障害者、知的障害者、精神障害者、難病患者などが対象です。原則として18歳以上(必要に応じて15歳以上)の方が利用でき、身体障害者の場合は65歳前日までに障害福祉サービスやこれに準ずるものを利用した方が対象になります。
基本的に障害者種別で区別はされませんが、障害者グループホーム事業所の方針や生活環境整備の状況によって入居できる障害者の種別が決まっていることがあります。
利用料は1割負担
共同生活援助を利用するには、社会福祉サービス利用料がかかります。利用料は原則として1割負担となり、世帯の収入状況によって自己負担する月額上限が決まっています。
所得を判断する世帯範囲と、サービス利用料の月額上限の区分は以下の通りです。
【世帯範囲】
- 18歳以上の場合、利用者とその配偶者
- 18歳未満の場合、保護者の属する住民基本台帳上の世帯
【サービス利用料の上限月額の区分】
区分 | 世帯の収入状況 | 負担月額上限 |
生活保護 | 生活保護を受給する世帯 | 0円 |
低所得 | 市町村民税非課税の世帯 | 0円 |
一般1 | 市町村民税課税の世帯(所得割16万円未満) | 9,300円 |
一般2 | 上記以外の世帯 | 37,200円 |
※市町村民税課税世帯がグループホームを利用する場合は、「一般2」の区分になります。
出典:厚生労働省「障害者の利用者負担」https://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/service/hutan1.html
家賃、食費などの支払いが必要
共同生活援助を利用する際には、家賃や食費、水道光熱費、日用品費などの支払いが必要です。
それぞれの施設によって料金は異なるため、事前に確認しておきましょう。
また、共同生活援助を利用している方は、一定条件を満たすと特定障害者特別給付費を受け取れます。支給額は月額1万円で、家賃の月額が1万円未満の場合は実費が支給されます。
各自治体によって、独自の助成制度を行っている場合もあります。
共同生活援助の形式は4種類。違いは?
共同生活援助の形式は、介護サービス包括型、日中サービス支援型、外部サービス利用型、サテライト型の4種類あります。それぞれのサービス内容や対象者をご紹介します。
区分とは
障害者総合支援法では障害のある方が必要な支援を受けられるように「障害支援区分」という基準を設けています。
障害支援区分は、障害の特性や心身の状態を総合的に判断して支援の度合いを6段階の区分で示します。区分1〜6まであり、数字が大きいほど支援度が高いことを表しています。
共同生活援助には4つの形式があり、基本的には障害支援区分にかかわらず利用できます。しかし、それぞれ障害者支援体制が違うため、施設によって利用条件が決められていることがあります。
共同生活援助を利用する場合は、障害の種別や障害支援区分に合った施設を探しましょう。
介護サービス包括型
「介護サービス包括型」は、主に夜間に施設の従業員が日常生活上の援助や介護サービスを行うものです。
サービス内容
世話人や生活支援員など施設の従業員が、主に夜間における家事や生活相談などの日常生活上の援助、食事や入浴、トイレなどの介護援助を行います。
対象者・区分
介護サービス包括型は知的障害のある方が利用していることが多く、障害支援区分では区分2〜4の方が特に利用している傾向があります。
日中サービス支援型
「日中サービス支援型」は、昼夜を通じて日常生活上の援助や介護サービスを行うものです。
サービス内容
施設ごとに昼夜1人以上の世話人または生活支援員が配置されており、家事や日常生活の援助、食事、トイレなどの介護サービスを行います。
対象者・区分
日中サービス支援型は知的障害のある方が利用していることが多く、障害支援区分4以上の方が多く利用している傾向があります。
外部サービス利用型
「外部サービス利用型」は、日常生活上のサポートは施設の従業者が行い、介護サービスは委託された外部の居宅介護事業所によって提供されるタイプです。
サービス内容
主に夜間における日常生活上の援助や相談は、施設の世話人が行います。入浴や食事の援助などの介護サービスは委託先から派遣された介護スタッフが行います。
対象者・区分
外部サービス利用型は精神障害のある方で、障害支援区分では「区分なし」の方が多く利用しています。
サテライト型
「サテライト型」は、他の入居者と交流できる共同生活住居(本体住居)を利用しながら、近くのアパートやマンションなどの一室(サテライト住居)で一人暮らしに近い形態で生活をするタイプです。
サービス内容
サテライト型の場合、本体となる共同生活住居の居間や食堂の設備を利用して食事や余暇活動などを行います。
サテライト型住居では従業員の定期的な巡回が行われ、家事や日常生活上の援助、食事やトイレなどの介護を受けられます。
対象者・区分
サテライト型は、将来的に一人暮らしをしたい方が利用していることが多いです。原則として利用期間は2年となり、一般住宅などに転居できるように計画的な支援が行われます。
共同生活援助を利用するまでの流れ
共同生活援助を利用するまでの流れについてご紹介します。
サービスの利用申請
共同生活援助を利用する際は、市町村の窓口に利用申請をします。利用申請をする際には障害支援区分が必要になるため、認定を受けていない場合は認定調査を申し込みましょう。
サービス利用計画の作成
利用申請をしたら、指定特定相談支援事業者にサービス利用計画案の作成を依頼します。
指定特定相談支援事業者は聴き取り調査を行い、サービス利用計画案を作成。完成したら市町村に提出します。
市町村の支給決定、受給者証の受け取り
市町村が支給を決定すると、障害福祉サービス受給者証が交付されます。受給者証の記載内容は、受給者番号や居住地、氏名、障害種別、障害支援区分、サービス種別などです。利用申請申し込みから受給者証を受け取るまでは、最大1ヶ月程度かかります。
グループホームの体験利用
市町村にグループホームの体験利用の申請を行い、支給が決定した場合は体験利用ができます。利用期間は、1回につき連続30日以内かつ年間50日以内です。
利用契約
利用を希望する障害者グループホームに受給者証を提示し、入居申し込みをします。
入居申請書や面談をもとに、入居の受け入れが検討されます。入居が決定したら利用契約を結び、共同生活がスタートします。
本人と家族の意思を確認した上で共同生活援助を利用しよう
障害者関係施設にはさまざまな種類がありますが、共同生活援助は地域の中で自分らしい生活ができるメリットがあります。
そのため、「入所施設や病院ではなく、地域の中で暮らしたい」「サポートを受けながら住み慣れた場所で生活したい」「親など支援者が高齢になったときのために、一人暮らしを経験しておきたい」など、自立した生活を求める方に向いています。
共同生活援助は施設によって提供されるサービスが違うので、利用者ご本人とご家族の意思を確認して最適な共同生活援助を選び、利用しましょう。
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