相談支援従事者初任者研修とは?目的や研修内容、期間、全国の実施例を紹介

福祉の仕事をしたい方コラム

福祉の現場で活かせる資格にはさまざまなものがあります。
中でも、相談支援業務やマネジメント業務に必要な資格として挙げられるのが「相談支援従事者初任者研修」です。
今回の記事では、「相談支援従事者初任者研修」の目的や研修内容、さらに全国での研修実施例について紹介します。

 

相談支援従事者初任者研修とは

介護業界で仕事をしている方は「相談支援従事者初任者研修」という言葉を聞いたことがある人も多いでしょう。
ここでは、「相談支援従事者初任者研修」の役割や内容について詳しく解説していきます。

 

相談支援業務の向上が目的の資格

相談支援従事者初任者研修は、地域の障害者が自身の意向に基づいた地域生活を送れるよう、指定相談支援事業所などで実施する「相談支援業務」の質を向上させることが目的です。

講義内容は医療・保険・教育・就労などのサービスに関する利用支援等の知識や援助技術を身につけるためのものになります。

障害者が地域で円滑に暮らせるよう、包括的な支援方法についてスキルを向上させることが研修の目的です。

 

資格を取得できる人は限られる

相談支援従事者初任者研修を受けられるのは基本的に下記のいずれかに該当する方に限られます。

  • 指定相談支援事業所において相談支援専門員として業務に従事している
  • 指定重度障害者等包括支援事業所においてサービス提供責任者として業務に従事している

※その予定がある方も対象

自治体によって対象が異なる場合があるので、確認しましょう。

また、指定相談支援事業所等、ほか公的な委託または補助によらない相談支援業務を実施している民間団体の、事業所長等による推薦も必要です。

受講申込書や推薦書の他に実務経験申告書や実務経験証明書の提出を求められる場合もあるので、よく確認することをおすすめします。

ちなみに、相談支援専門員業務を継続する場合、現任研修を修了する必要も出てきます。

 

研修内容と資格取得にかかる時間

相談支援従事者初任者研修の一般的なカリキュラムは以下のとおりです。

 

【講義】

  • 障害児者の地域支援と相談支援従事者(児童発達支援管理責任者・サービス管理責任者)の役割に関する講義 5時間
  • 障害者の社会生活および日常生活を総合的に支援するための法律および児童福祉法の概要並びにサービス提供のプロセスに関する講義 3時間
  • 相談支援におけるケアマネジメント手法に関する講義  3時間

【講義および演習】

  • ケアマネジメントプロセスに関する講義および演習 31.5時間

【実習】

  • 相談支援の基礎技術に関する実習

 

合計研修時間は42.5時間であり、おおむね7日間程度の受講となります。

なお、東京都の場合、申込みから受講決定、研修、修了証書交付まで約7か月かかります。

 

相談支援従事者初任者研修はサービス管理責任者の必須研修

相談支援従事者初任者研修は、サービス管理責任者(サビ管)の必須研修でもあります。

サービス管理責任者は障害者総合福祉法によって、障害福祉サービスを提供する事業所への配置が義務づけられています

サービス管理責任者の主な役割は以下です。

  • 利用者に対する支援プロセスの管理
  • スタッフに対する指導助言
  • サービス向上のために行政や医療機関等の関係者や関係機関との連携を図る

事業所においては、まとめ役に当たり、利用者の生活力向上や地域とのつながりを作るために重要な役割を果たすポストです。

これまでの介護現場での経験を活かしたい、あるいはマネジメント業務に挑戦したいという方は、サービス管理責任者を目指して「相談支援従事者初任者研修」を受けることを検討しましょう。

 

ちなみに介護職員初任者研修とは

「相談支援従事者初任者研修」と間違えやすい資格に「介護職員初任者研修」があります。

両者の違いがわからず、どちらを取得すべきか悩んでいる方もいるかもしれません。

しかし、相談支援従事者初任者研修と介護職員初任者研修は、そもそも研修目的が異なります

前述の通り「相談支援従事者初任者研修」は相談支援業務の向上を目的としますが、「介護職員初任者研修」は介護の基礎知識やスキルの習得が目的です。

また、介護職員初任者研修には実務経験の有無や年齢・性別・国籍等の資格取得における制限はありません
研修時間は130時間、さらに筆記試験による合否判定も行われます。

合格し、取得した資格を活かせる勤務先は、特別養護老人ホームや有料老人ホームといった入所型施設、デイサービスやデイケア、訪問介護事業やグループホームなど多岐にわたります。

初めて介護の世界に入る場合は、まず「介護職員初任者研修」の資格取得を目指すのがおすすめです。

 

令和2年度の各地における相談支援従事者初任者研修例

勉強する人

「相談支援従事者初任者研修」は地域ごとで内容が異なる部分もあります。

ここでは令和2年度の各地域の研修例を紹介していくので、参考にしてください。

直近の開催日程や会場、実施予定や申込方法などについては自治体のHPなどで実施要領を確認しましょう。不明点がある場合は、地域の社会福祉事業団などへ問い合わせすることをおすすめします。

 

東京

受講期間
7日間(※新型コロナウイルス感染症予防のため、1・2日目の講義はオンライン配信にて実施、3日目以降はいくつかの日程に分けて演習を実施)

対象者(以下すべて満たす方)

  • 全日程受講可能な方
  • 東京都内の事業所に所属している、あるいは所属予定の方
  • 事業所からの推薦がある
  • 指定相談支援事業所において相談支援専門員業務に従事、もしくは指定重度障害者等包括支援事業所においてサービス提供責任者業務に従事する方(予定含む。)

詳細
https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/shinsho/shienhoukanrenkensyu/shoninnsya.html

 

神奈川

受講期間
7日間(※1・2日目はオンライン講義、演習は3コースに分けて実施)

対象者(いずれかに該当する方)

  • 指定相談支援事業者(指定特定、障害児、指定一般)において今年度または来年度に相談支援専門員の業務に従事しようとする者
  • 指定相談支援事業者の指定申請を予定している事業所の従事者
  • 相談支援に従事する市町村職員
  • その他県が必要と認める者

詳細
https://www.rakuraku.or.jp/shienhi/liblary/L_Result2.asp?category=128&topid=4

 

埼玉

受講期間
7日間(※2日間はオンライン講義、5日間の演習は4ブロックの地域別で実施)

対象者(以下いずれかの要件に当てはまる人)

  • 要件に合う実務経験を満たし、かつ指定一般or指定特定相談支援事業所や障害児相談支援事業所において相談支援事業に従事している
  • 指定重度障害者等包括支援事業所にサービス提供責任者として従事している
  • 県内で障害者の相談支援業務に従事している方、あるいは年度末までに従事予定の県職員
  • 県内市町村にて障害者の相談支援業務に従事している方、あるいは年度末までに従事予定の市町村職員
    など

詳細
https://www.pref.saitama.lg.jp/a0605/sodan-syoninsyakensyu.html

 

千葉

受講期間
7日間(※1日、2日目はオンライン講義、3~7日目は演習)

サービス管理責任者または児童発達支援管理責任者を希望する場合は2日課程、別途「サービス管理責任者基礎研修」の履修が必要

対象者

  • 指定特定相談支援事業所等において「相談支援専門員」として従事しようとする者
  • 障害児者の相談支援に関わる市町村職員

詳細
https://www.pref.chiba.lg.jp/shoji/kenshuu/soudan/2019soudan-syonin.html

 

大阪

受講期間
7日間
ただし、サービス管理責任者あるいは児童発達支援管理責任者としての従事を希望する場合は2日間

対象者 

  • 指定一般・指定特定・障がい児相談支援事業所にて相談支援専門員として従事しようとする者
  • 指定重度障がい者包括支援事業所にてサービス提供責任者として従事しようとする者

詳細
http://www.pref.osaka.lg.jp/chiikiseikatsu/shogai-chiki/soudanshienkensyu.html

 

京都

受講期間

  • 8日間(相談支援専門員を目指す者)
  • 3日間(サービス管理責任者・児童発達支援管理責任者の必須要件。オンラインにて実施)
  • 演習コース(以前3日間コースの研修を受けたことがあり、相談支援専門員を目指す者)

対象者

  • 相談支援専門員やサービス管理責任者・児童発達支援管理責任者になろうとする者
  • 本研修の受講を条件に暫定的にサービス管理責任者・児童発達支援管理責任者として認められている者

詳細
https://www.city.kyoto.lg.jp/hokenfukushi/page/0000272559.html

 

広島

受講期間
7日間(※1日、2日目はオンライン講義、3日目以降は演習)

対象者
相談支援専門員として従事しようとする者であり、従事に必要な実務経験を満たす者
※前半のオンライン講義はサービス管理責任者および児童発達支援管理責任者基礎研修を受講しようとしている方も対象

詳細
https://www.pref.hiroshima.lg.jp/soshiki/62/r2kensyu.html

 

障害者グループホームで相談支援従事者初任者研修を活かす

精神科の病床数削減が進められている昨今、退院後の受け入れ先として障害者グループホームが増えています。福祉業界で注目を集めている障害者グループホームで相談支援従事者初任者研修の資格を活かすために、知っておきたいポイントを紹介します。

 

障害者グループホームはサービス管理責任者の配置が必須

少人数の障害者が地域で共同生活を送りながら、自立を目指すことを目的とした「障害者グループホーム」。昼は就労している利用者も多いため、主に夜間の生活をサポートします。

このグループホームにはサービス管理責任者の配置が必須です。

入居者がより良い生活を送れるよう、サービス管理責任者は就職活動の支援や地域交流の機会の提供、関係者や関連機関との連携を行います。

このサービス管理責任者になるために必要なのが相談支援従事者初任者研修の講義部分を受講することです。

前述の通り、自治体によっては相談支援従事者初任者研修の講義部分をサービス管理責任者になろうとしている人も受けられます。

相談支援従事者初任者研修で得た知識は障害者グループホームでも活かせるといえるでしょう。

 

応募者の多い障害者グループホーム「わおん」

わおん」は、殺処分対象であった犬や猫たちを迎えることで、動物と人間、両方の福祉の充実を目指すペット共生型のグループホームです。ペットと暮らせるという珍しいコンセプトで、利用者だけでなく、介護業界の求職者の間でも人気が高まっています。

ペットと共に生活することは、運動の機会を増やしたりコミュニケーションのきっかけになったりと、入居者に活力を与えることが期待できます。

また、ペットと一緒に通勤可能なところも多く、動物好きな方にとって働きやすい職場といえるでしょう。

 

サービス管理責任者以外の職種も募集あり

「わおん」ではサービス管理責任者以外にも、無資格でも応募可能な生活支援員、夜間職員、世話人(料理や掃除など暮らしのサポートを行う)を募集しています。

就職を希望される方は下記より求人情報をご確認ください。

https://anispi.co.jp/waon/recruit/